読書の勧め
山口県在住の中学同級生から、紅葉できれいな下関市長府の功山寺と隣接の下関歴史博物館に行ってきたとのLINEを頂いた。功山寺は歴代長府藩主の菩提寺で、幕末元治元年(1864)12月15日高杉晋作が長州藩の藩論を回天して尊皇倒幕への道筋を付けるために…
中藤玲著「安いニッポン・価格が示す停滞」日経BP社 刊 を読み終えた。 著者は日本経済新聞の記者でこれまで色々な業界を担当している。 この本は30年に渡って停滞から抜け出せず、今や衰退期とまで酷評される日本経済について、世界との価格の比較に目を…
NHKBSプレミアムシネマで放送された「博士の愛した数式」を録画再生で見終えた。 原作は本屋大賞に選ばれ当時のベストセラーになった作家・小川洋子さんの同名作品。観始めて分かったが、この映画の監督は「雨あがる」「阿弥陀堂だより」など観る度に、観終…
坂井孝一著「鎌倉殿と執権北条氏」NHK新書刊 を読み終えた。 著者は日本中世史の専門家で以前、同著者の「承久の乱(じょうきゅうのらん)ーー真の武者の世を告げる大乱」を読んだことがある。 私もこの本の「おわりに」で初めて知ったのだが、2022年のNHK…
板東真理子著「70歳のたしなみ」小学舘刊 を読み終えた。 近くの図書館の「今なら読めるベストセラー」と表示されたコーナーに置かれていたのを、たまたま手に取ったのは自分が70歳を越えていることと無縁ではない。 (「今なら読めるベストセラー」はし…
11月7日のこのブログで幕末の女流勤皇歌人・野村望東尼(のむらぼうとうに)と高杉晋作のかかわり合いを書いた際に、作家・司馬遼太郎さんが幕末の長州藩の吉田松陰をはじめとする松下村塾系の群像を描いた「世に棲む日日 」第三巻を引用させてもらった。第…
高村直助(たかむらなおすけ)著「小松帯刀」吉川弘文館刊を読み終えた。 小松帯刀についてはこのブログでも2019年5月31日に「幕末の薩摩藩家老 小松帯刀」という題で新聞記事から少し触れさせてもらったことがある。 従来から薩摩藩の明治維新功労者は…
女優・樹木希林さんの前の名は悠木千帆だったが、その頃はあまりに好きな俳優ではなかった気がする。 いつの間にか樹木希林になりTVドラマやTVのCM、特に映画では「なくてはならない人、必要とされる俳優」という感じで受けとめていた。特に河瀬直美監督の「…
山口県在住の同級生から防府市にある野村望東尼の墓所を訪れたことの連絡をもらった。 望東尼が三田尻(現在の防府)で亡くなったのは初めて知ったのだが、以前から長州藩回天の立役者・高杉晋作の恩人であることは知っており、この機会にこのブログで少し触れ…
江戸時代ふるさと厚狭周辺を給領地にした厚狭毛利家の民政記録を読み進めている。 厚狭地域の内、最も瀬戸内海側にあるのが梶浦(かじうら)で厚狭川の河口域にあり古来から漁業中心の集落であった。地形上関門海峡を見通せる位置にあり、代官所日記の文久元年…
NHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」や真鍋淑郎博士のノーベル物理学賞受賞などに触発されもう少し気象のことを知りたいと思っていた矢先、近くの図書館の新刊書コーナーで、古川武彦、大木勇人共著「天気予報入門」講談社 BLUE BACKS 刊を見つけ、借出して…
10月21日のこの日記に奈良・般若寺(はんにゃじ)にコスモスを見に訪れた事を書いたが、飛鳥時代創建のこの寺は時代の流れの中で幾多の事件や戦火に遭遇しており、折角の機会なのでこの内文学とも関わりのある三つのことを書くことにした。 境内に建つ句碑…
古来中国では自らを世界の中心・中華と考える思想から辺境にある民族や国を、東夷(とうい)、西戎(せいじゅう)、南蛮(なんばん)、北狄(ほくてき)と呼んでいた。 それぞれの字には文明や文化から遠いとの意味が込められている。日本や朝鮮半島はさしずめ東夷に…
鎌田實さんの経歴を見ると私よりひとつ歳上とのことで、白いひげがトレードマーク、医師と作家の二足のわらじで度々マスコミなどに登場されている。その鎌田さんが書かれた「鎌田實の人生図書館」マガジンハウス刊 は副題が「あなたを変える本と映画と絵本た…
古代中国後漢(ごかん)末期、魏(ぎ)・蜀(しょく)・呉(ご)の三国が鼎立(ていりつ)して争った三国時代を著した書、三国志や三国志演義は日本でもファンが多くコミックにもなっている。西暦308年「赤壁の戦い」はその中のクライマックスのひとつであり、北か…
日曜日朝、民放の報道番組「サンデーモーニング」の中で現役財務次官が財政赤字について雑誌に寄稿している事が話題になっていた。また日経新聞の記事でもこの事が取りあげられており、これは読まなければと思い、用事の帰途本屋に寄って購入してきた。 近く…
井上靖原作の映画「我が母の記」がNHKBSプレミアムシネマで放映され録画して観ることになった。井上靖氏の作品は中学生の頃から学校の図書室や町立図書館で出会い、ずいぶん読ませてもらった気がする。私の中でその著作を大きく分けると ・「しろばんば」な…
昨日は秋の清々しい気候の中、何時ものメンバー3名でホームコースに出掛けてきた。最近連続して晴天に恵まれており、ゴルフで晴れの日ほど有り難く感じるものはない。本来もうひとりエントリーされていたのだが腰痛で残念ながらキャンセル、私達の年齢にな…
歴史家・黒田基樹著〈戦国「おんな家長」の群像〉笠間書院刊 を読み終えた。 日本史の中で家長(かちょう・一家の家督を継ぎ一族郎党を統括する)として女性が君臨したケースで、私が直ぐに思い浮かぶのは、源頼朝死後「尼将軍」と呼ばれた北条政子で、自らの…
映画や演劇で股旅ものと言われるジャンルがある。 流れ者や無宿人のヤクザが出てきて大抵義理人情と活劇がセットになっている。歌謡曲にも同じジャンルがあり昨今の音楽事情の中ではどちらかというと片隅に追いやられているような気がする。若い人から石とブ…
吉田元夫著「東南アジア史10講」岩波新書 を読み終えた。 東南アジア各国の歴史を青銅器の時代から近現代まで概説したものだが範囲が広すぎるため、その中からここでは自分の興味本位で日本人町の事を書くことにした。16世紀海禁政策が基本であった中国…
作家の角田光代(かくたみつよ)さんは直木賞作家で、 「八日目の蝉」や「紙の月」などの作品が世評に高いことは知っていた。 また時おり新聞や雑誌でエッセイも手掛けられ名前を見ることも多かったが、今まで小説作品は読んだことがなかった。先日近くの図書…
最近不思議なことに立て続けに3件「犬ゾリ」の話に接することになってしまった。☆一つ目は9月14日のこのブログで触れた「NHK映像の世紀プレミアム」(4)「英雄達の栄光と悲劇」で取りあげられた、英国・スコットとノルウェー・アムンゼンの南極点到達競…
足利氏が15代に亘り将軍職であった室町時代は一般的に将軍の権威はさほど強くなく混乱の時代が続いたイメージがある。初期は南北朝の争いが尾を引き、足利尊氏、直義(ただよし) 兄弟が争った観応の擾乱(かんのうのじょうらん)や鎌倉幕府北条氏の残党が決起…
沢野ひとし著「ジジイの片づけ」集英社刊を読み終えた。 著者は1944年生まれのイラストレーター・エッセイストで、今まで中国のあちこちを旅したことのエッセイ「中国銀河鉄道の旅」なども読ませてもらったことがある。私も著者より少しだけ若い同じ「ジ…
「オリエント急行殺人事件」は云わずと知れた作家アガサ・クリスティの名探偵ポアロが活躍する推理小説だが残念ながら未だ読んだことがない。然し推理小説の名作という世評は聞いており、NHKBSプレミアムシネマで放送された1974年の映画を録画しておいた…
個人的な意見だが、女優の小林聡美さんは何かしら他の人とは違う不思議感を身に漂わせている。最初に印象に残ったのが10年以上前に見た「かもめ食堂」という映画で、群ようこさんの原作を映画にしたものらしいが、なぜかわからないが北欧フィンランドのヘ…
9月月4日のこのブログの続き。藤田達生著「災害とたたかう大名たち」には災害対策などで、強く結びついた藩と領民を示すものの例として、明治維新後の廃藩置県で、旧藩主が領地を離れ東京に集められることに際し、西日本を中心に、藩士ではなく領民たちが…
藤田達生著 「災害とたたかう大名たち」角川選書を読み終えた。 著者は時折NHKの歴史番組でもお目にかかる歴史学者だが、現代にも重なる、地震・火事・水害・干魃(かんばつ)・疫病等々、度重なる危機、災害に大名たちはどう立ち向かったのかが主題である。当…
マスターズはゴルフをする人なら誰もが知っているいわば世界一を決める試合と云っても良いかもしれない。 世界の4大大会、いわゆるメジャーの全米オープン、全米プロ、全英オープンと並んでその一角を占めている。他の3試合は毎年違ったゴルフ場が選定され…