「村・百姓たちの近世」

🔘長く中断していましたがぼちぼちと復帰しようと思います。今までと違い2~3日に一回のペースで無理せず気長に行きたいと思いますのでどうぞ宜しくお願いします。

水本邦彦著「村・百姓たちの近世」岩波新書 刊を読み終えた。

著者は日本近世史の専門家で村社会、郷村社会の営みに関する著作が多い。著者はこの本について「はじめに」の章で、近世日本の村の世界に焦点を当て、そこで暮らした百姓たちの姿や、社会における村の役割などを観察したものだと述べている。

ちなみに歴史学での近世とは端的に云うと「江戸時代」のことである。

私は戦後山口県厚狭(現在山陽小野田市)の鴨庄(かものしょう)という典型的な農村に生まれ子供時代を過ごし、年を経て江戸時代に厚狭を治めた厚狭毛利家の郷村支配の記録「代官所日記」を読む機会を得たがこの本に記されている事柄が、かなりの程度私の子供時代の記憶や、「代官所日記」の内容と重なることに懐かしさと興味を覚えている。

例えば村の形のひとつとして散居型という川に沿って百姓家が点在しその中に武士身分の家があった山城国(京都府)山田村が取りあげられているが、私の記憶の中にある鴨庄も全く同じで寝太郎用水と呼ばれた小川の両側に家が点在し、この地域を支配する熊谷直実を祖とする熊谷家関係の武士身分の家もあった。

また「代官所日記」にあった商家、職人なども含め百姓と定義されていること、河川土木に於ける領主と住民の負担の問題、幕府と藩との両方からの触れ書き等々もこの本で示されている。

また別の視点ながらこの本が取りあげた二つの内容についても非常に興味を覚えた。

①17世紀末には開発可能地は新田化され、目覚ましく発達した稲作農業は米の過剰生産から高物価・低米価を招き、このような事態は石高制に基づく領主経済に大きな打撃を与えることとなった。

②当時日本を訪れ農村を見たヨーロッパ人はその旅行記のなかで「家屋や生活は至ってみすぼらしく貧しいが百姓達は満足して暮らしている」

🔘今日の一句、

山口県に残る数少ない民謡が、幕末お台場(砲台)建設に一般庶民が参加した際に唄われたという「男なら」、先生がいないのでYouTubeで練習を試みているが、歌謡曲と違い節回しや間合いがとても難しい。

 

ふるさとの民謡難し虫笑う

 

🔘施設の庭の奥隅でひっそり隠れて咲いていたのを見つけたオオムラサキツユクサ