2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

厚狭毛利家代官所日記のまえがき・開作(かいさく)

厚狭毛利家の民政を記録した代官所日記の文久2年(1862)分を読んでいくと厚狭毛利家家臣の一人が何らかの罪に問われ九州に逃亡、遂に捕えられる経過が頻繁に出てくるようになった。罪状などは記載がなく分からなかったが、この逃亡を助ける者がいたり、…

映画「蝉しぐれ」と作家・藤沢周平

民放BSで放送された2005年の映画「蝉しぐれ」を録画して観終えた。 「蝉しぐれ」は云うまでもなく作家・藤沢周平さんの原作で、映画の冒頭 「藤沢周平氏に捧ぐ」との字幕が流れた。「たそがれ清兵衛」など藤沢作品を多く撮った山田洋次監督の弟子とも云…

春闘と春季交渉に思うこと

色々なニュースで今年の賃上げ交渉が始まった事が取り上げられている。 世界各国の賃上げ率に比べ日本の賃金の伸びが長い間低く抑えられ、これが物価上昇率を含む経済の循環に対して著しく悪影響を与えていることは周知の事である。 云わばこの交渉は今後の…

厚狭毛利家代官所日記㉔文久2年⑥梶浦の魚せり場

厚狭毛利家の民政記録、文久2年(1862)を読む。梶浦(かじうら)は厚狭川の河口域にある厚狭毛利領内唯一の漁村であり厚狭地域の南端に当たる。漁区が比較的小さく天保12年(1841)萩藩が地域毎の民情をとりまとめた「防長風土注進案(ぼうちょうふうど…

「絵で見る十字軍物語」

60年代から70年代頃にかけて日本中にフォークソングが響き、フォークソンググループが沢山活躍していた。 その一つ「ザ・フォーク・クルセダーズ」があり大ヒットした「帰ってきたヨッパライ」「イムジン河」「悲しくてやりきれない」などの曲に記憶があ…

ブログの嬉しい出来事

私の書いてるこのブログは自分で振り返っても少し硬い内容が多いが、自分のスタイルを今さら変えるわけにもいかず自分の文章を貫こうと思っている。こんな硬い内容ながら長く続けているせいか、当初は毎日の訪問者数が10~20件程度だったのが、最近では…

「鎌倉殿の十三人」・大江広元(おおえのひろもと)

今年始まったNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」は大河には比較的取り上げられることが少ない鎌倉幕府の草創期を扱った作品である。鎌倉幕府や室町幕府では評定衆(ひょうじょうしゅう)と呼ばれる将軍を補佐して実力者が合議する機関があったが、草創期でまだ…

「坂の上の雲」と連合艦隊解散の辞

先日、長崎県対馬の万関瀬戸のことをこのブログに書いたが、関連した日露戦争の日本海海戦を見直そうと思い司馬遼太郎さんの大作「坂の上の雲」を書棚から引っ張り出し、海戦に関わる第5巻、6巻を読み始めると止まらずつい最後まで読んでしまった。 この本…

円の実力低下

日経新聞に掲載された「円の実力低下、50年前並み」という記事には当然だろうと思う反面、日本の近い将来を否応なく思い起こさせ背筋が寒くなるような気持ちにさせるものがあり、正直云って窓の外の寒さと併せダブルで効いてくる。記事は国際決済銀行が発…

対馬・万関瀬戸(まんぜきせと)と日本海海戦

長崎県対馬(つしま)在住でブログを運営されている方から、対馬の見どころのひとつとして島を上島と下島に分かつ万関地峡(まんぜきちきょう)とそれをまたぐ万関橋を写真付きで教えられた。実はこの万関という名前にはかすかな古い記憶があり、もう少し教えを…

「室町は今日もハードボイルド」

清水克行著「室町は今日もハードボイルドーー日本中世のアナーキーな世界」新潮社刊 を読み終えた。 表紙の絵も人目を引くような強烈なインパクトで、オマケにこの本のキャッチコピーは以下の通り好奇心をあおる内容で、とても学術的な本とは思えない。『「…

映画「あん」

民放BSで放送された河瀨直美監督の映画「あん」を録画再生して観終わることが出来た。 この映画を観るのは多分2度目と思うが途中全くその事を忘れ最後まで集中したような気がする。ハンセン病を扱った映画に、松本清張原作を野村芳太郎監督で加藤剛さん等が…

キャロライン・ケネディさん

米国バイデン大統領がオーストラリア駐在大使にケネディ元大統領の長女でオバマ大統領時代に駐日大使だったキャロライン・ケネディさんを指名したとのニュースを聞いてこれは日本の国際関係に於いて年明けのグッドニュースだと直感した。日経新聞の記事によ…

俵 万智さん「オレがマリオ」

俵 万智さんと云えば「サラダ記念日」 【「この味がいいね」と君が言ったから 七月 六日はサラダ記念日】昭和の終わり近い1987年突然世に出た俵万智さんの歌集「サラダ記念日」は世の中に大きな反響を巻き起こし現代短歌、口語短歌に出逢うきっかけを与…

防府天満宮の御神木と「無用の用」

山口県在住の同級生から防府天満宮に出掛けた際の写真を送って貰ったがその中に御神木として楠の大木の写真があった。 防府天満宮は日本三大天神の一つで建立されたのは日本で最も古いといわれ、道真が大宰府に左遷の途上、防府に同族・土師氏出身の周防国司…

厚狭毛利家代官所日記㉓文久2年⑤農民の大チョンボ

厚狭毛利家の民政記録・代官所日記に、公務にかり出された百姓の大失敗が記録されている。萩藩毛利家では領内を宰判(さいばん)と呼ばれる18の行政区に分けて勘場(かんば)と名付けられた役所を置き代官を始めとする役人が詰めていた。 厚狭毛利領は吉田宰判…

黒澤明の映画はこう作られた

一体今まで何本の黒沢明監督の映画を観たのだろうか。 多分ほとんどのものを劇場やTV、レンタルビデオなど何らかの形で観た気がしてあまりにたくさんあり過ぎるので、思い出しながら私個人のベスト5を挙げてみる。①隠し砦の三悪人(やはり私のNo1はこの映画…

二刀流アレコレ

去年は大リーグの大谷翔平選手の2刀流が日本中を席巻し、コロナウイルスなどで沈滞気味な空気を振り払ってくれたような気がして今年の活躍も大いに期待される。2刀流の形にも色々有り大谷選手のようなスポーツのなかでの2役、スポーツと他のこと、ラグビ…

「伊藤博文 ・知の政治家」

伊藤博文公は私の郷里山口県出身の大政治家である。 これまで私が郷里の大先輩として伊藤博文に持っていたイメージや知識は概ね次のようなものであった。・元々百姓出身であったが父親の関係で武士の末席である中間(ちゅうげん)身分からスタートする。 ・吉…

蔵書の始末②活字離れのことなど

終活の一環として若いときに購入した本の始末に取り掛かっている。途中からこのまま購入を続けると置き場や始末が大変と思い始め、図書館や文庫本の活用に切り替えたが既に結構な量になってしまってる。 ・記憶に残すため蔵書全体(文庫本を除く)を撮影した。…

「信玄餅」からの余談です

知り合いから山梨県土産として「信玄餅」というお菓子を頂いた。 いわゆる信玄袋といわれる袋の形をした包装に、個装の餅が、きな粉いっぱいにまぶされ小容器の黒蜜と同梱されている。 コーヒーと一緒に頂いたが、きな粉と黒蜜が混ざりあった味は独特の懐か…

「開戦 太平洋戦争・日中知られざる攻防」

NHKのBS1スペシャル「完全版 開戦 太平洋戦争~日中知られざる攻防」を録画していたのをようやく観ることが出来た。1941年12月8日、ハワイ真珠湾の米国海軍基地を奇襲攻撃することで始まった太平洋戦争だが、日本はそれ以前、1937年7月7日北京…

厚狭毛利家代官所日記㉒文久2年④領内での宗門トラブル

江戸時代はキリスト教を禁ずるための宗教統制が有名だが仏教内でも寺毎の檀家リストが宗門人別改帳(にんべつあらためちょう)として戸籍代わりになり、領地内の政治統制にも使用されていた。通常この寺と檀家の関係は親子代々受け継がれるが、人が移動した場…

映画「ショーシャンクの空に」

NHKBSのプレミアムシネマで放送された米映画「ショーシャンクの空に」を録画してようやく観終えた。 1回目はどこで観たのかハッキリしないが途中から2回目であることに気付いたものの映画自体の吸引力に引き込まれて最後まで集中して観ることが出来た。【…

『六角精児「呑み鉄」の旅』ふるさと厚狭が出てきて大ショック

NHKBSプレミアムで季節ごとに放送される六角精児さんの「呑み鉄本線日本旅」は冒頭からの壇蜜さんのナレーションも心地よく、六角さんの個性丸出しでローカル線のアレコレが紹介され、私の好きな番組の一つで、2020年の9月7日と9月9日のこのブログで…

「カエサル」

小池和子著「カエサル」岩波新書 を読み終えた。 著者は西洋古典学を専門とされているとのことで、あとがきで「既に供給過剰の感があるカエサルという題材を取り上げる意味がどこにあるのか」と自問自答されている。 この供給過剰という表現にある通りカエサ…

長州藩士・前原一誠②司馬遼太郎作品の中で

1月2日のこのブログに明治維新の功労者の一人・前原一誠がふるさとと接点があった事とその経歴を書いた。 その人となりを知るため、司馬遼太郎さんの作品に脇役ながら登場する際の描写を挙げさせて貰うことにした。①吉田松陰や高杉晋作など幕末の長州人を題…

タイの解説書が出てきた②タイの季節感と行事

12月31日の続き四季のある日本からみるとタイは一年中暑い国というイメージがあるが、その暑い中でも熱帯モンスーン(季節風)気候から来る季節の変化があり、大別すると南西季節風の影響を受ける5月から10月頃迄の雨季と、北東季節風から来る11月か…

うれしい年賀状とゴルフの初打ち

◎もうそろそろ年賀状を出すのをやめようかと思いつつ、今年も古くなった我が家のプリンターを苦労して調整しながら、何とか作成して出し終えた。いただいた年賀状を見るのは楽しみだか今年はそのなかにとりわけ嬉しいことが書かれてあるのが二通あった。 何…

長州藩士・前原一誠(まえばらいっせい)

明治維新の三傑といえば異論なく、薩摩の西郷隆盛、大久保利通、長州の木戸孝允の名前が出てくる。 しかし明治維新の十傑となると、三傑以外に誰を入れ誰を外すかで今でも定まらない。 長州藩の前原一誠は人によってこの十傑に入れたり入れなかったり云わば…