2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

厚狭毛利家代官所日記No58慶応3年(1867)⑥頼母子(たのもし)講

頼母子という変わった言葉がすんなり耳に入って来るのは私も含めてそれなりの年齢以上の人かもしれない。 この頃の厚狭毛利家では下関攘夷戦争、長州藩内戦、四境戦争と打ち続く戦乱で出費が重なり種々の金策に奔走している。 4月の記録にその一環で厚狭市(…

「神戸の歴史」②一ノ谷合戦

3月26日の続き 私の住む神戸辺りは九州西国から軍を催し京を目指す場合、京や畿内(きない・京の周辺諸国)を守る軍との衝突を起こしやすい地点に当たり幾度か全国規模の戦いの舞台になった。 その一つが源氏と平家が争った一ノ谷の合戦である。 木曽義仲に…

桜・さくら・サクラ

昨年5月に現在地に越してきて、隣接する健康公園の桜並木を見て桜が咲く頃になるとさぞかし綺麗だろうと思ってきた。 待っていたその染井吉野(ソメイヨシノ)がようやく見頃を迎え幾つか写真を撮ってきた。 【過ぎし日と現在(いま)を重ねて桜咲く】 施設の屋…

「坂の上の雲」⑩海(かい)の薩摩と新海軍つくり

私は山口県の生まれなので長州の事に殊更興味があり当然「陸の長州」と呼ばれ明治陸軍を創った長州人にはその功罪併せて牽かれるものがある。 しかしこの回は「海の薩摩」といわれる明治海軍の薩摩人のことなどを書くつもりである。 「坂の上の雲」は日露戦…

映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

NHKBSプレミアムで放送された映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」を録画して観終わった。 2017年のイギリス映画で、第二次世界大戦でヒトラーのナチスドイツに対峙したイギリス首相・チャーチルの後半生、まさに戦時内閣を率い…

「神戸の歴史」神戸の名前の由来など

垂水図書館に立ち寄った際に見つけた古い本、落合重信著「増訂神戸の歴史ー古代から近代までー通史編」後藤書店刊を読み始めている。 1975年に初版が発行され1989年に増訂版となった古い本だが古代からの通史として新しく住人になった神戸を知る上で…

辛夷(こぶし)・「北国の春」

辛夷(コブシ)の花と言えば何と云っても連想するのが千昌夫さんの歌「北国の春」 白樺 青空 南風 こぶし咲くあの丘北国の ああ北国の春 季節が都会では わからないだろと 届いたおふくろの 小さな包み あの故郷へ 帰ろかな 帰ろかな ようやく唄えるようになっ…

「坂の上の雲」⑨須磨(すま)の灯

私は今神戸市の最も西の端に当たる垂水に住んでいるが直ぐ東となりが同じ神戸の須磨になる。須磨は源平合戦の一の谷の古戦場や須磨離宮などが有名な景勝地で、源氏物語の舞台にもなっている古くからの土地である。 「坂の上の雲」の主人公の一人正岡子規は肺…

ブログを開設して丸四年、など

はてなブログの運営会社から「ブログを開設されて四年になりました」という通知がメールで来た。 そうか、「誰でも無料でブログが始められる」というキャッチコピーに釣られてもう四年になるのかと我がことながら少し感慨もありデータを見てみると ・投稿回…

厚狭毛利家代官所日記No56慶応3年(1867)盗難事件始末

8月18日から29日までの記録の要約 領内船木の吉見屋与七の養子・吉次郎は腰物商(刀剣、印籠、巾着など腰に着けるものを商う)を営んでいたが、生活に困り懇意にしていた有帆村の商家とお寺に夜間盗みに入り以下の物を持ち出した。 ・寺の分~蚊帳、衣服…

小平奈緒さんの元気な姿「鶴瓶の家族に乾杯」

スピードスケートの小平奈緒選手はそのひたむきに努力する姿と少し哲学的な話しぶりに好感を持ち現役時代ずっと応援してきた。 2022年10月23日のこのブログに「小平奈緒選手の全日本500m8連覇と引退」と題して小平さんの引退のことを書いたがそ…

「坂の上の雲」⑧騎兵の特質

「坂の上の雲」の主人公の一人秋山好古は日本騎兵の生みの親とも云われ、日露戦争ではその騎兵集団を率いて当時世界最強と云われた敵のコサック騎兵と渡り合い負けなかった。 近代に至るまで日本には騎兵という概念がほとんど無く単に馬に乗った武士というも…

最後の講義・ノンフィクション作家 保阪正康

NHKBS1に「最後の講義・The Last Lecture」という番組があり「今日が人生最後の日なら何を伝えたいか?」をコンセプトにして各界の第一人者が核心となるメッセージを講義の形で発する番組である。 漫画家の西原理恵子さんの回も「毎日かあさん」のように面…

故郷での歴史講演会と企画展

昨日は墓参りで帰った故郷で、山陽小野田市歴史民俗資料館主催の郷土史関係の企画展とそれに関連した講演会があり、企画展の対象にゆかりがある山口県在住の同級生と共に参加してきた。 歴史民俗資料館 企画展は以前私のブログでもふれたことがあるが、江戸…

故郷に墓参り

昨日から3年ぶりとなる墓参りで故郷の山口県厚狭に帰っている。実はこの帰省には別の行事に参加する目的もありその事は別に書くことにする。 神戸に引っ越して初めての帰省なので要領がわからず新神戸、西明石のどちらから乗車するか迷ったが神戸線経由で西…

厚狭毛利家代官所日記No56慶応3年(1867)④賭博の摘発

慶応3年7月から8月初めにかけて領内で常習賭博の摘発があり、この経緯や処分の要約は以下の通り。 胴元は沖開作(厚狭川河口の干拓地)百姓の利兵衛というもので、領内の百姓に仮親を頼み家も借り受けて他所から移り住んでいるもの。 賭博に参加したものは…

映画「ドライビング・MISS・デイジー」

NHKBSプレミアムで放送された1990年の米映画「ドライビング・MISS・デイジー」を録画して観終わった。 観終えて少し心が温かくなるようなヒューマンドラマと言えるかもしれないが、1990年のアカデミー賞作品賞を受賞していたことをあとで知りなるほ…

「三国志入門」

宮城谷昌光著「三国志入門」文春新書 を読み終えた。 宮城谷昌光さんは中国歴史小説の第一人者で1991年の直木賞「夏姫春秋(かきしゅんじゅう)」以来数々のベストセラーをものにしておられる。そのなかには「諸葛亮(しょかつりょう)」「三国志」など中国…

映画「ゼロの焦点」

1909年生まれの作家・松本清張の生誕100年を記念して2009年に公開された映画「ゼロの焦点」がNHKBSプレミアムで放送され録画して観終えた。 松本清張作品は推理小説時代小説を問わず若い時期に数限りなく読んだ気がしてこの映画の題名にも記憶が…

「坂の上の雲」⑦一朶(いちだ)の雲

司馬遼太郎さんの全6巻の大作「坂の上の雲」を読み始めた若い頃、私はなぜこの物語の題が「坂の上の雲」なのか疑問に思ったままだった。 周知のようにこの物語は明治の伊予松山人・秋山好古、真之兄弟と正岡子規の生涯を縦糸に、日露戦争を横糸にして織り込…

あるある!お悩み相談室「名句の学び方」

住んでいる施設の俳句サークルメンバー募集の貼り紙を見て俳句を初めてようやく半年ほど経過した。ぶっつけ本番なので未だに良く分からないことが多い中、季語と五・七・五を頭に入れて毎日一句を目標に句を作っている。 そんな中図書館で目についたエッセイ…

朝鮮戦争でのトルーマンとマッカーサー

月刊誌・文藝春秋が今年創刊100周年を迎えるということで記念の記事が相次いで掲載されている。 3月号には「文藝春秋が報じた世界の肉声」と題してかつて紙上で世界の指導者の声を掲載したものの内、現在の世界情勢の指針になるような声を選択して再掲し…

厚狭毛利家代官所日記No55慶応3年(1867)③米の不正積み出しと厚狭毛利家代官の解任

四境戦争への準備として長州藩では米の他領への売却積み出しの禁令と、禁令破りを届け出たものに報償金を出す「お触れ」が出されていたことを2022年12月27日のブログに書いた。 〔以下慶応3年11月3日から翌4年3月5日までの関連記録の要約〕 …

3月の句会

昨日は住んでいる施設の俳句サークル3月の例会で出席は15名(内1名は入会希望の見学)の盛会。 私はほぼ毎日作っている句の1ヶ月分の中から以下の5句を出句した。 ①春靄(もや)に地図を片手の播州史 ②山椿暗き苔(こけ)道照らしおり ③梅の香が一木(いちぼ…

『遣唐使とユーラシア大陸ーー「ふりさけ見れば」連載を終えて』

安部龍太郎さんが日経新聞に連載されてきた「ふりさけ見れば」が全567 回で、とうとう終わってしまった。 奈良時代に大国・唐と我が国が朝鮮半島情勢などを経て緊張状態にあるなか、遣唐使として派遣された阿倍仲麻呂と吉備真備(きびのまきび)を主人公に…

孫が会いに来た

就職して関東に赴任する予定の一番上の孫がその前にということで垂水に会いに来て、家内と一緒に駅前のドトールコーヒーで話を聞いた。 正月にも都合で会えていないのでおよそ半年振りとなるが、卒業論文もほぼ完成したとのことでその写しを見たが従来から取…

「ふりさけ見れば」が終わってしまった

安部龍太郎さんが日経新聞に連載されてきた「ふりさけ見れば」が全567 回で、とうとう終わってしまった。 奈良時代に大国・唐と我が国が朝鮮半島情勢などを経て緊張状態にあるなか、遣唐使として派遣された阿倍仲麻呂と吉備真備(きびのまきび)を主人公に…

播磨国(はりまのくに)の同窓会

昨日は中学校の同窓生で旧播磨国(兵庫県)に住む3人と隣国・摂津国(せっつのくに・大阪府)の1人の計4名で食事会があり兵庫県明石市まで出掛けてきた。 近くの加古川に永く暮らす同窓生が段取りをして ・駅近くの和食の店で昼食 ・明石城公園を散策 ・カラ…

「国難の商人 ・白石正一郎の明治維新」

宮本雅史著「国難の商人・白石正一郎の明治維新」産経新聞出版刊 を読み終えた。 白石正一郎は全国区とは云えないかもしれないが山口県などではよく知られた人物で幕末から明治維新にかけて下関を拠点にした商人である。 当時赤間関(あかまがせき)と呼ばれて…

「金ヶ崎の退(の)き口」

最近NHKでは大河ドラマを盛り上げようと色々な番組で徳川家康に絡めた企画を立ち上げているが、これもその一つで歴史番組「英雄たちの選択」で家康絶体絶命と前置きして『「金ヶ崎の退き口」の真実』を放送した。 退き口とは負け戦や不利な戦いから戦場を離…