読書の勧め

「ジジイの片づけ」と「司馬遼太郎記念館」

沢野ひとし著「ジジイの片づけ」集英社刊を読み終えた。 著者は1944年生まれのイラストレーター・エッセイストで、今まで中国のあちこちを旅したことのエッセイ「中国銀河鉄道の旅」なども読ませてもらったことがある。私も著者より少しだけ若い同じ「ジ…

「オリエント急行殺人事件」

「オリエント急行殺人事件」は云わずと知れた作家アガサ・クリスティの名探偵ポアロが活躍する推理小説だが残念ながら未だ読んだことがない。然し推理小説の名作という世評は聞いており、NHKBSプレミアムシネマで放送された1974年の映画を録画しておいた…

「わたしの本のある日々」

個人的な意見だが、女優の小林聡美さんは何かしら他の人とは違う不思議感を身に漂わせている。最初に印象に残ったのが10年以上前に見た「かもめ食堂」という映画で、群ようこさんの原作を映画にしたものらしいが、なぜかわからないが北欧フィンランドのヘ…

「災害とたたかう大名たち」②清末藩(県)の一揆

9月月4日のこのブログの続き。藤田達生著「災害とたたかう大名たち」には災害対策などで、強く結びついた藩と領民を示すものの例として、明治維新後の廃藩置県で、旧藩主が領地を離れ東京に集められることに際し、西日本を中心に、藩士ではなく領民たちが…

災害とたたかう大名たち①藤堂藩

藤田達生著 「災害とたたかう大名たち」角川選書を読み終えた。 著者は時折NHKの歴史番組でもお目にかかる歴史学者だが、現代にも重なる、地震・火事・水害・干魃(かんばつ)・疫病等々、度重なる危機、災害に大名たちはどう立ち向かったのかが主題である。当…

「マスターズ」

マスターズはゴルフをする人なら誰もが知っているいわば世界一を決める試合と云っても良いかもしれない。 世界の4大大会、いわゆるメジャーの全米オープン、全米プロ、全英オープンと並んでその一角を占めている。他の3試合は毎年違ったゴルフ場が選定され…

アレクサンダー大王

アフガニスタン情勢のニュースに頻繁に接するうちに、紀元前4世紀エジプトや小アジア(トルコ)、メソポタミア、アフガニスタンを越えてインド・インダス川流域までの広大な地域を制覇したアレクサンダー大王の事が自然と頭に浮かんだ。現在のアフガニスタン…

「よくわかる一神教」

私は墓参りや仏壇の前で手を合わせることは自然にするが、振り返って見ると個人的には無信心無宗教の気がする。 然し歴史が好きなので日本史、各国史等の本を読んできたが、その中で宗教の持つ重さにはそのよい面、悪い面も含めて考えさせられる事が多い。佐…

「中年の本棚」

「中年の本棚」萩原魚雷(おぎはらぎょらい)著 紀伊國屋書店刊を読み終えた。 近くの図書館に行った折に新刊書コーナーでたまたま手に取っただけなのだが。 変わった名前の著者だが本名だろうか? 略歴を見ると1969年生まれとあり私と20年違うので丁度…

下剋上(げこくじょう)・陶晴賢(すえはるかた)の場合

黒田基樹著「下剋上」講談社現代新書 を読み終えた。 下剋上とは中世(平安時代末~戦国時代)を代表する歴史言葉で日本史の授業では必ず出てくる。 この本の中では「下剋上」を 「下位の者が、主体性をもって、実力を発揮して、上位の者の権力を制限したり、…

「街道をゆく」・上杉と毛利

「街道をゆく」は作家・司馬遼太郎さんが1970年代から20年以上にわたって「週刊朝日」に連載された歴史紀行文学と言えるもので当時から「週刊朝日」の看板だった気がする。その後単行本や文庫本になり実に全43巻を数え、私も一通り買っており、先日…

「中国人の面子(メンツ)」

「中国人の面子」江河海著 佐藤嘉江子訳 はまの出版刊を読み終えた。 日経新聞の記事で紹介されていたので近所の図書館を介し府立図書館から取り寄せて貰った。 現役時代、中国上海に3年間駐在した。その間今まで知らなかった事や不思議に思える事にも色々…

『「東国の雄」上杉景勝』

『「東国の雄」上杉景勝』今福 匡(ただし)著 角川新書刊を読み終えた。 副題が「謙信の後継者、屈すれど滅びず」となっている。 この屈すれどは、時代の流れのなかで豊臣秀吉、徳川家康に臣従したことを指している。 副題が戦国大名・上杉景勝をかなり簡潔に…

「朝鮮王朝実録」と韓流歴史ドラマ

朴 永圭 著 神田聡 訳 「朝鮮王朝実録」新潮社刊のことに触れた新聞記事を見て図書館に予約、わざわざ他の図書館から融通して貰ったのを借り出し読み終えた。 先日日本で昭和天皇個人の事跡やその時代を纏めた「昭和天皇実録」が刊行され話題を集めたが、中…

「戦国大名の兵粮(ひょうろう)事情」

吉川弘文館・歴史文化ライブラリー#415「戦国大名の兵粮事情」久保健一郎著 を読み終えた。 著者は早稲田大学教授で戦国時代を中心に研究されておられるようである。 戦国大名と言えば大きな領国を持ち英雄達が智略を尽くして戦い、生き残りや一族の繁栄…

森鷗外「阿部一族」

7月17日のこの日記に森鷗外の作品集を書棚からさがし出して「舞姫」を読んだことを書いた。 その作品集が机の上に放ったらかしにしてあり折角なので仕舞う前にと思い代表作のひとつ「阿部一族」を読み始めた。この作品はもう半世紀以上も前になる中学校の…

「古代豪族の謎」

山口県周南市の中学同級生から〈古事記日本書紀から読み解く「古代豪族の謎」新人物文庫〉を贈って貰い読み始めた。 古代天皇家と密接に関わり歴史を形作ってきた古代豪族、物部氏、葛城氏、蘇我氏、吉備氏等10氏についてそれぞれの研究者がその実状に迫ろ…

「シルクロード~仏の道をゆく」と「ふりさけ見れば」

日経新聞で作家・安部龍太郎さんの新連載「ふりさけ見れば」が始まった。「天の原ふりさけみれば春日なる 三笠の山に出でし月かも」 多分阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)の詠んだこの歌から来ている題名と思われるが最初の場面も阿倍仲麻呂が滞在する長安から始…

「シルクロード~仏の道をゆく」

安部龍太郎著「シルクロード~仏の道をゆく」潮出版社刊を読み終えた。 たまたま新聞に紹介記事が載っており近くの図書館に予約して借り出した。 日経新聞に連載されていた伊集院 静さんの「ミチクサ先生」の終わりが近付いた辺りで次の連載は安部龍太郎さん…

森鴎外「舞姫」

山口県在住の同級生からのLINEで、自宅から車で40分で行ける津和野生まれの森鷗外の小説「舞姫」にチャレンジしたとの連絡を頂いた。 明治に生きた文豪森鷗外についてはこのブログ2020、6、19に「岡山みやげ高瀬舟ようかん」と題してその作品「高瀬…

「山口県地方史研究」・大村益次郎

幕末長州藩内周防国(すおうのくに)鋳銭司(すぜんじ)村(現在山口市)の村医者の子として生まれた村田蔵六は豊後(ぶんご・大分県)日田の広瀬淡窓(ひろせたんそう)に漢学を学び、大阪に出て緒方洪庵の適塾で蘭学を学び塾頭、その後、宇和島藩主・伊達宗城(だて…

厚狭毛利家代官所日記⑥弘化4年②盗伐事件の後始末

江戸時代、萩毛利藩内の山林の立木は自由に伐採することは出来ず、作事などで必要な場合は奉行所の許可を必要とし、特に用木がある山は山廻り役人が監視し盗伐には誅罰が加えられた。山には藩の公有林である御立(おたて)山、厚狭毛利家等の給領主に預けてい…

イザベラ・バード「日本奥地紀行」

イザベラ・(ルーシー)・バード女史(1831~1904)は英国の旅行家、探検家、随筆家でアジアも含む世界の辺境を旅し著作を残した。 女史は明治初期来日し、変化しつつあった日本の東北地方から更には北海道を旅行し妹への書簡なども交えこのときの率直な旅行記を…

川路聖謨(かわじとしあきら)③日露和親条約

6月17日のブログの続き。 川路聖謨など幕府のロシア使節応接掛が長崎でロシア提督・プチャーチンと折衝し一旦帰国させた。 その一年後嘉永7年(1854)10月、プチャーチンは函館、大阪を経由して伊豆下田に再来、条約締結を強く求めた。幕府は大目付…

川路聖謨(かわじとしあきら)②長崎日記

6月12日のこの日記に、幕末の開明的な幕臣のひとり川路聖謨が、幕末のロシア使節プチャーチンの長崎来航に伴い、応接掛として江戸から長崎に下向途中に、ふるさと厚狭の隣町・船木に泊まった記録がある事を書いた。色々調べて見ると川路聖謨のこの長崎日…

「天狗争乱」

NHK大河ドラマ「青天を衝け」では主人公の渋沢栄一とならんで水戸藩出身の一橋慶喜が準主人公のような廻りで物語が進んでおり現在、水戸藩の悲劇とも言える「天狗党の乱」が映し出されている。水戸藩は徳川御三家でありながら不思議なことに徳川光國(黄門)以…

桐葉菓(とうようか)と風流武辺(ふうりゅうぶへん)

昨日は梅雨の合間で久しぶりにゴルフでホームコースに出かけてきた。 帰宅してみると山口県周南市の中学同級生から手紙とお菓子が届いていた。友人の方に届けて貰う私の本に関することで懐かしい名前も出てきて、嬉しく読ませてもらった。更にお菓子の包みを…

新日本風土記「松本清張 昭和の旅」②日本の黒い霧

6月5日のこのブログにNHKBSの新日本風土記で放送された「松本清張 昭和の旅」の中から「天城越え」を中心に書いてみた。 今回は清張さんが後半生で力を入れた現代史に題材を得た 「日本の黒い霧」を読み直し書かせて貰うことにした。戦後の有る時期まで日…

新日本風土記「松本清張 昭和の旅」

5月16日のこのブログに「作家・松本清張」と題してNHKBSの番組、新日本風土記「松本清張と鉄道の旅」について小説「砂の器」等の事を書いたところ読者の方から、程なくして放映された同じ新日本風土記の「松本清張 昭和の旅」を見て清張さんの作品を読み…

中島敦「山月記(さんげつき)」

4月7日のこのブログに作家・中島敦の代表作「李陵(りりょう)」のことを書いた。 昭和17年(1942)33歳で夭逝(ようせい)した中島敦は当然ながら寡作(かさく)であるが、世の中の評価は「李陵」と「山月記」を以て双璧としている感がある。「李陵」のこ…