読書の勧め

「物語・廃藩置県」②

1月26日のブログの続き 幕末に本来幕府側で戦うと思われたにもかかわらず土壇場で薩長中心の官軍側に付いた(幕軍側からみると裏切った)三藩の内残り二藩のその後、 ②淀(京都府)藩10万2千石 桂・宇治・木津の三川が合流する地点にある淀城は幕府が京都…

「物語 アラビアの歴史」

蔀 勇造(しとみ・ゆうぞう)著「物語 アラビアの歴史」中公新書版を読み終えた。と言っても文中に出てくる人名や地名に手こずり、正直言って系統的に頭の中に収まったのは近世以降の内容に他ならない。 著者はアラビア古代史や東西海上交流史が専門で副題が「…

英雄たちの選択「森鷗外37歳の転機~小倉'左遷'の真実」

NHKBSプレミアムで放送された英雄たちの選択「森鷗外37歳の転機~小倉'左遷'の真実」を録画して観終えた。 夏目漱石と並ぶ明治の文豪・森鷗外は昨年没後100年を迎えたことから色々な企画が実行されておりこの番組もその一環と言えるかもしれない。 若く…

「物語・廃藩置県」①

同じ施設の入居者の方にわざわざ持参頂いて貸して貰った高野澄著「物語・廃藩置県」新人物往来社刊を読み終えた。 これは幕末維新の最終章とも云え新政府が中央集権を完成させた「廃藩置県」を取り上げ、全国三百諸侯と言われた諸藩の中から代表的な四十八藩…

「真田信之/真田家を継いだ男の半生」②

1月22日のブログの続き ここでは黒田基樹著「真田信之/真田家を継いだ男の半生」から得られた新しい知見を整理しておきたい。 ・豊臣政権時代真田昌幸は信州上田で3万8千石を得ていたが、長男信之は上州(群馬県)沼田で2万7千石、弟信繁(幸村)は豊臣(…

「真田信之/真田家を継いだ男の半生」①

黒田基樹著「真田信之/真田家を継いだ男の半生」角川選書を読み終えた。 先日このブログで生誕100年を迎えた作家・池波正太郎さんに触れた際に同級生からメールがあり真田では幸村よりも信幸(信之)の方が好きだとあった。 信濃国(しなののくに・長野県)…

「読み継がれる史記~司馬遷の伝記文学」

谷口匡(たにぐちただし)著「読み継がれる史記~司馬遷の伝記文学」塙書房刊 を読み終えた。 史記は中国歴代王朝などの正史・二十四史の最初に位置付けられ歴史のみでなく文学的な価値も広く知られており、前漢の武帝の時代(紀元前141年~87年)司馬遷(し…

桶狭間のなぜ?

歴史のあれこれを追跡していると歴史家の説明を色々読んだり聞いたりしてももなかなか疑問が解けていないことがあり、例えば以下のようなこと等々である。 ・大軍を率いていた今川義元が桶狭間で織田信長に攻撃され首を取られるほどの惨敗に至ったのはなぜか…

歴史・時代小説の巨星 生誕100年②司馬遼太郎

2023年に生誕100年を迎える巨星の二人目は作家・司馬遼太郎さん。 初期の西域ものと言われる「ペルシャの幻術師」などから、直木賞を受賞した「梟の城」を中心にした忍者小説、更に「竜馬がゆく」「燃えよ剣」「坂の上の雲」など男の生き方を描いた歴…

「正岡子規・よもだのエネルギー球」

文藝春秋の創刊100周年と銘打った新年特大号には101年目の超大型企画として「101人の輝ける日本人」と題が付き「日本人を感動させ、ワクワクさせた人々の最高にチャーミングな素顔がここにある」とした101人のそれぞれを身近で観た人が101の…

「鎌倉殿VS朝廷・承久の乱の真実」

文藝春秋の創刊100周年新年特大号はさすがに面白い記事が沢山あるがこれもそのひとつ。 夫婦共に東大史料編纂所教授という歴史家の本郷和人氏、本郷恵子氏の承久の乱を中心にした対談を取りまとめた表題の「鎌倉殿VS朝廷・承久の乱の真実」である。 承久…

「古文書のことば」

日本史を体系的に学んだわけではないので、古い史料や古文書をみているとどうしても解らない言葉や文字が出てくる。 そんな場合は以下のようなことを試みる。 ・同じ言葉や文字が違った箇所に出てきているのを見つけ複数の文章で共通する意味合いをさがす。 …

歴史・時代小説の巨星 生誕100年①池波正太郎

2023年は池波正太郎、司馬遼太郎という国民的人気作家2人の生誕100年に当たるということで色々なマスコミで取り上げられたり行事が計画されている。 日経新聞の元旦記事第二部でも「歴史・時代小説の巨星 生誕100年」との見出しで紹介があった。 共…

長府歴史博物館あれこれ

長府(ちょうふ)は字の通り律令(りつりょう)制下、長門国(ながとのくに)の国府があったところで現在は下関市に含まれる。 藩政時代は萩・毛利家の支藩・長府藩5万石の支配下にあり、藩祖は関ヶ原合戦の折り毛利全軍を率いた毛利秀元である。 私の郷里・山口…

角川地名大辞典・山口県③防長風土注進案(ぼうちょうふうどちゅうしんあん)

12月月20日のブログの続き 「地名大辞典・山口県」の月報に田中彰氏(当時北大教授)の「防長風土注進案と地名」と題した寄稿文が掲載されている。 田中氏はこの注進案の地名を例に挙げ、行政の側から勝手に地名を変えたり、作ったりすることだけは断固と…

なぜ山県有朋は「悪役になったか」

雑誌「文藝春秋」の12月特別号の巻頭随筆のひとつとして近・現代日本政治外交史が専門の歴史学者・伊藤之雄(いとうゆきお)の「なぜ山県有朋は悪役になったか」が掲載されている。 今年安倍元首相の葬儀で菅前首相が岡義武著「山県有朋」を取り上げ安倍氏が…

菊池寛賞受賞・NHK「映像の世紀バタフライエフェクト」

小説家・菊池寛は私の中学生時代に図書室で文学全集の「菊池寛集」を読んでおり「父帰る」や「恩讐の彼方に」が記憶に残っている。 菊池寛は自ら文藝春秋社を起業、芥川龍之介賞・直木三十五賞の創設に関わった。 その菊池の名を冠した菊池寛賞は様々な文化…

「晩節の研究」・鑑真

河合 敦(かわいあつし)著「晩節の研究 偉人・賢人のその後」 幻冬舎新書刊 を読み終えた。著者は日本史の専門家で最近時折TVでも見かける。 歴史に名を残す偉業を成し遂げた人物も殆んどの場合本当に活躍したのは一時期である場合が多く「その後」の人生は意…

角川地名大辞典・山口県①地名のアクセント

日本の地名辞典のなかでも角川書店が昭和53年から順次発行した「日本地名大辞典」は都道府県毎に一冊、全47冊に及ぶもので私も殆んど揃えていたが、引っ越しで処分して山口県のものだけ残して置いた。 今考えると兵庫県の分も残して置いた方が良かったか…

「鎌倉殿の13人」北条政子の名演説と時代考証

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では後鳥羽上皇が執権・北条義時追討の院宣(いんぜん)を下し、朝廷と鎌倉幕府が対決する「承久(じょうきゅう)の乱」の始まりを告げる状況にさしかかっている。 動揺する鎌倉の御家人一同を結束させ、史上初めて東国武士団が西国…

画家・長谷川等伯と七尾(石川県)

JR東日本が発行している情報誌「大人の休日倶楽部」は施設のライブラリーにいつも置いてあるが、その11月号に桃山時代に活躍した画家・長谷川等伯の特集が掲載されておりその副題が「七尾が育み狩野派に迫った桃山美術の天才絵師」となっている。 JRなので…

「播磨気質(はりまかたぎ)」

新しく住んだ播磨の風土を知りたいと図書館で借り出した「播磨気質」という本は、神戸新聞社に掲載されたシリーズをまとめたものらしいが、5部の構成になっており 第1部 われら播州人(播州人への悪口の集大成) 第2部われら混血民族(渡来人や国内各地の血…

12月の句会

昨日は施設の俳句サークルの12月の例会、今月から出句数が7から5へと削減されたなか、以下の5句を出した。 ①意に染まぬ 心見透かす 朝の冷え ②神の旅 奄美立神(たちがみ) 一休み ③見不知(みしらず)の柿を賞でるや会津武士 ④無職にてひっつき虫の運び屋…

彷徨(さまよ)えるユダヤ人

作家・司馬遼太郎さんの全集を図書館で借りて特に随筆などを中心に時折読み返している この中に「人と軌跡」と題した作家や芸術家に関する文章を集約したものがあり『石上玄一郎(いそのかみげんいちろう)氏と「彷徨えるユダヤ人」』が載っている。元々この内…

「悪党」

悪党(あくとう)とはよくTVや映画、小説などでよく使われる言葉で人の道に外れたり罪を犯すような行いや人を指し、悪人、ならず者、ごろつきなどで表されまた人をののしって言う言葉でもある。 しかし中世の日本では支配層や体制に刃向かい自分たちの利益を主…

「真田松代(まつしろ)藩の財政改革・日暮硯(ひぐらしすずり)と恩田杢(おんだもく)」

笠谷和比古(かさやかずひこ)著「真田松代藩の財政改革・日暮硯と恩田杢」吉川弘文館刊 を読み終えた。 恩田杢(木工・もく)という人物については小説の分野で、真田太平記など一連の真田もので著名な作家・池波正太郎さんの「真田騒動 恩田木工」という作品が…

NHK番組・歴史探偵での「正岡子規」

近代俳句の祖と云われる正岡子規については伊集院静さんの「ノボさん」や司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」で親近感を覚える存在である。 また最近施設の俳句サークルに参加させて貰うことになり余計に関心が高くなっていたところで、NHKの番組「歴史探偵」で…

「ふりさけ見れば」②

近年小説についてはほとんど読むことが無くなったが日経新聞に連載中の作家・安部龍太郎さんの小説「ふりさけ見れば」は例外で、当日読めなかった場合は翌日に読むなどして一日も欠かさず日課にしている。 遣唐使の時代、何れも使節団の一員として唐に渡った…

大名家の理不尽な話

本題に入る前に、昨日のWカップ・ドイツ戦は素晴らしかった。本音をいうと良くて引き分けと思っていたが反省している。 堂安選手、浅野選手のゴールは見る側の目を覚まさせてくれた気がする。 ①中国地方の覇者であった毛利氏は輝元の代に関ヶ原の敗戦に巻き…

「僧兵盛衰記」

渡辺守順(わたなべしゅじゅん)著「僧兵盛衰記」吉川弘文館刊 を読み終えた。著者は仏教関係の歴史書の著作が多い。 僧兵と言えば一番先に思い浮かぶのは武蔵坊弁慶だろうか、主人の源義経に最期まで付き従い立往生を遂げて主人と共に国民的ヒーローのひとり…