俳句

「太平記の世界・列島の内乱史」応永の乱/ブログ中断のお知らせ

佐藤和彦著「太平記の世界・列島の内乱史」吉川弘文館刊を読み終えた。 この本は14世紀の30年代から鎌倉幕府の終焉と共に約60年間にわたって日本列島を広範囲に戦乱に巻き込んだ南北朝時代を、室町時代に成立した軍記・太平記を共通の手がかりにして描…

「値上げもう謝らない」

物価と賃金が上がらない約30年を経て外からのエネルギー価格の上昇や、内なる人手不足、金融緩和などの影響からか、ようやく値上げや賃上げが受け入れらていくような兆しが素人目にも感じられる。 現在の物価上昇は食料品の上昇が牽引していることはデータ…

「北京の歴史」③エピソード②

1月13日の続き、「北京の歴史」に書かれているエピソードの内の残りの2項目。 ③盧溝橋(ろこうきょう) 盧溝橋は北京の西南郊外の永定河(えいていが)にかかる橋で11基のアーチ型孔洞をもつ橋脚で支えている有名な橋である。 永定河の旧名が盧溝河であり…

映画「小説家を見つけたら」

NHKBSで放送された2000年のアメリカ映画「小説家を見つけたら」原題「finding forrester」を録画、長らく放置していたが時間を見つけようやく観終わった。 放置していたのが後悔されるような、記憶に残る、また観終えて余韻の残る私にとって良い映画であ…

「北京の歴史」②エピソード①

1月11日の続き 「北京の歴史」に織り込まれているエピソードの中で日本人に比較的馴染みがあると思われるものを2回に分けて書いておきたい。 ①「隗(かい)より始めよ」 古代、北京の辺りは燕(えん)国と呼ばれていたことは既に書いたが、燕は当時の辺境に…

「北京(ぺきん)の歴史」①

新宮 学(あらみやまなぶ)著「北京の歴史」筑摩書房 刊を読み終えた。著者は中国近世、中国都城史、東アジア比較都城史の専門家で副題が「中華世界に選ばれた都城の歩み」となっているように、北京の起源から中華人民共和国の首都となるまでの歴史を丹念にた…

初句会

昨日は今年初めての施設俳句サークルの句会で、普段に無いお茶(ペットボトル)やお菓子まで出してもらった。 私は出来るだけ毎日の句作を心がけているなかから以下の五句を出した。 ①木洩れ日へ悴(かじか)む手指差しかざす ②手袋を忘れて拳握り締め ③渡すより…

映画「用心棒」と関東取締出役(かんとうとりしまりでやく)など

NHKBSで放送された昭和36年(1961)の懐かしい映画「用心棒」を録画再生して観終わった。 観るのは多分2回目と思うが細かい点はあまり憶えておらず最後まで集中して鑑賞出来た気がする。 云わずと知れた黒澤明監督の代表作のひとつで、三船敏郎主演、こ…

「新街道をゆく②肥薩の道」

作家・司馬遼太郎さんの全43巻に及ぶ代表作「街道をゆく」を、司馬さんの生誕100年を期してNHKが映像化する「新街道をゆく」、今回はその五回目の放送で「肥薩のみち」である。 肥とは肥後国・熊本県、薩とは薩摩国・鹿児島県であり、司馬さんが昭和4…

塩野七生(しおのななみ)さんの徳川慶喜への評価

イタリア在住の作家・塩野七生さんが月刊誌「文藝春秋」に「日本人へ」と題したエッセイを連載されていることは以前にも書いたことがある。 最新の新年号では前号に引き続いて『「燃えよ剣」を読む』と題して作家・司馬遼太郎さんの新選組副長・土方歳三を主…

娘と孫の訪問

昨日は娘夫婦と孫二人がやって来た。もうひとりの孫はインフルエンザに罹り来ることが出来ず留守番で残念。 昨年までに孫三人共に職を得ることが出来て一安心したのだが、来た二人には職場の様子を色々尋ねたり、業種の先行きなどの話が出来て久しぶりに社会…

「物語 朝鮮王朝の滅亡」

金 重明(KimJungMyeong)著 「物語 朝鮮王朝の滅亡」岩波書店 刊 を読み終えた。 著者は在日二世の小説家で本の題名に「物語」と付いているように、史料に基づいて歴史的事実を考証するのではなく「朝鮮王朝の滅亡」という重苦しい事実を平易に…

こころの時代「悪人とはだれか」

NHKEテレに「こころの時代」という番組があって、副題に「宗教・人生」が付いている。 私は今まで無宗教、無信心で来ているのでこの番組を視聴したことはなかったが、たまたまいつものルーチンで録画の為番組表を当たっている時「悪人とはだれか」という…

「史書を読む」

坂本太郎著「史書を読む」吉川弘文館 刊を読み終えた。 著者は1987年に亡くなられたが、日本の古代制度史の基礎を作ったひとりとして評価され文化勲章も受賞されており、この本は1981年に刊行されたものの復刊本である。 この本は、古事記、日本書紀…

今年(2023年)の振り返り

大阪八尾から神戸の西外れに引っ越して1年半経過した今年の暮れ、ようやくこの地のあれこれに少しずつ馴染みつつあるような気がする。 世間的には、コロナが五類に移行してようやく一区切りしたものの、毎日のニュースではウクライナや、パレスチナでの戦い…

「歴史に裏切られた武士 平清盛」

上杉和彦著「歴史に裏切られた武士 平清盛」アスキー新書刊 を読み終えた。 この本は標題に表されているが、一般的に驕る独裁者として悪人のイメージが定着している平清盛について、最近の研究成果を踏まえながら清盛の実像に迫ろうとするもので、著者は日本…

「大佛勧進(だいぶつかんじん)ものがたり」

平岡定海(ひらおかじょうかい)著「大佛勧進ものがたり」吉川弘文館 刊 を読み終えた。 著者は東大寺の最高職である別当(べっとう)も勤めた僧侶でもあり、史学の専門家である。 勧進(かんじん)とは寺社・仏像の建立(こんりゅう)や修繕などのため寄付を募るこ…

映画「土を喰らう十二ヵ月」

施設の映画会で2022年の日本映画「土を喰らう十二ヵ月」の知らせがあり参加してきた。 ネタバレにならない範囲で簡単に書くと、物語は初老に差し掛かった作家(沢田研二)が信州の山裾で、時折訪れる年下の恋人で編集者(松たか子)や、愛犬と暮らし、村人や…

「戦乱と民衆」

磯田道史/倉本一宏/F・クレインス/呉座勇一共著「戦乱と民衆」講談社現代新書刊を読み終えた。 著者は何れも国際日本文化研究センターに所属する日本史関係の教授、准教授で、この本の後半を構成する一般にも公開されたこのテーマに関係するシンポジウム「日…

12月放談会

昨日は施設の有志が5人集まり色々なテーマを話し合う放談会の12月の例会に出席した。 前回11月度の会が遅れて12月10日だったので、今回との間に時間的な余裕がなく、テーマを決めず思いついたものを話し合う形での会になった。 話し合われた内容は …

高砂と工楽(くらく)松右衛門

兵庫県高砂は結婚式の定番・謡曲「高砂」の舞台であり瀬戸内海運と播磨の大河・加古川の舟運で発達してきた湊街で西方に姫路を控える。 中学時代の同級生のひとりが此処に住み、以前播磨繋がりで会った際に、高砂の歴史観光パンフレットなどを頂いており高砂…

スポヂカラ!温泉街が育むなでしこたち 女子サッカー 岡山湯郷Belle

2011年のサッカー女子W杯でのなでしこジャパンの優勝は、今まで色々なスポーツ競技を観た中でも特筆されるもののひとつだった。 特に決勝のアメリカ戦で1点先行されて宮間あや選手のゴールで追い付き、更に1点先行され土壇場で宮間選手のコーナーキッ…

「オスマン帝国英傑列伝」

小笠原弘幸著「オスマン帝国英傑列伝」幻冬舎新書刊を読み終えた。 オスマン(トルコ)帝国は13世紀末に産声をあげて領土を拡大、数世紀のうちにイスラム世界の覇者となり、16世紀には世界で最も強大な国家となるが、18世紀末よりヨーロッパ列強の圧迫を…

生誕100年司馬遼太郎 雑談「昭和」への道②江戸日本の多様さ

今年は作家・司馬遼太郎さんの生誕100年に当たるということでNHKでは昭和61年に放送された、司馬さんが昭和の戦争までの時代を語る、『雑談「昭和」への道』を再放送しており、10月9日のこのブログに書いた。 放送は週一回のペースで直近は第11回…

車検で思ったこと

神戸に引っ越してきて車に乗る機会は用事で大阪を往復するか、買い物の運転手を務めるくらいのもので、以前に比べめっきり減った気がしている。 しかし走行距離にかかわらず年月が経つと車検の通知がやって来て、その見積もりに出掛けてきた。 街の修理工場…

山口県地方史研究・吉田松陰が幕末長州藩政治に与えた影響について

山口県地方史学会の会誌・「山口県地方史研究第130号」に掲載されている内の二つの興味ある研究のもうひとつ、萩市 相島宏美氏の「吉田松陰が幕末長州藩政治に与えた影響について」を読ませて貰った。 吉田松陰が、安政6年(1859)安政の大獄で処刑さ…

「幕府」とは何か・武家政権の正当性

東島誠(ひがしじままこと)著『「幕府」とは何か・武家政権の正当性』NHK出版 刊を読み終えた。 然しこの本を読み終えるのにはここ数年例が無いほど難儀した。2~3度途中で止めようかと思ったがヘトヘトでたどり着いた気がしている。 その訳は、あらゆる箇…

映画「かもめ食堂」

NHKBSで放映された2006年の日本映画「かもめ食堂」を録画して見終わった。実に不思議な感覚に陥る映画で、時間がゆったりと過ぎて行き、見終わると日常の雑事などどうでもよくなるような錯覚が起き、精神衛生上実に効果があるような気がする。 これと全…

厚狭毛利家文書の地元移管

私の生まれ故郷・山口県厚狭周辺を給領地にしていた厚狭毛利家のことはこのブログで色々と触れて来た。 先日山口で行われた山口県地方史学会の70周年記念大会で「厚狭毛利家文書」と呼ばれる貴重な史料が、厚狭図書館に保管保存されるまでの経緯を書いたも…

「武士の衣服から歴史を読む/古代・中世の武家服制」

佐多芳彦著「武士の衣服から歴史を読む/古代・中世の武家服制」吉川弘文館を読み終えた。著者は歴史学の教授で貴族社会の服装研究の延長で興味が武士に広がりその風俗研究のなかから衣服に絞ってたどり着いたのが本書ということである。 通常現代の本は右開…