関眞興(せきしんこう)著「一冊でわかるサウジアラビア史」河出書房新社 刊を読み終えた。
「世界と日本がわかる国ぐにの歴史」シリーズの中の一冊であり、現在も紛争が途切れない中東の盟主で、日本が輸入原油の約4割を頼る国で有りながら、なかなか国の実態が見えて来ず、以前からサウジアラビアのことを知りたいと思った矢先、図書館で見つけたものである。
サウジアラビアとは周知のように「王家・サウド家のアラビア」という意味があり、東のペルシャ湾、西は紅海に面するアラビア半島の大部分を占める絶対君主制国家である。
国の西部にイスラム教の二大聖地・メッカとメディナを抱え、世界の石油埋蔵量の約20%を占めると云われることなどからイスラム世界のリーダーであり、G20の構成国でもある。人口は約3200万人。
これは現在の中東情勢を理解する上で大切なことだが、アラブ人とはアラビア半島、北アフリカ、中東諸国に暮らすアラビア語を話す人々のことで、一部を除き人口の多数派がイスラム教徒である。
同じく中東やイスラム世界の盟主を自認する、イラン(ペルシャ語)、トルコ(トルコ語)などはアラブ人ではない。
この本の中ではメソポタミア文明や古代オリエント世界での記録から始まる、ラクダを家畜や乗り物として活用し始めたアラブ人の長い歴史が順次述べられる。
その中にアラブ人だけでなく世界史にも大きな影響を与えた、6~7世紀にかけての預言者ムハンマドの登場とイスラム教の誕生、教徒によるアラビア半島統一が書かれている。
ここでは字数の都合もあり1932年に建国され現在に至るサウジアラビア王国の歴史のなかでの幾つかのキーポイントを書き出しておきたい。
・サウジアラビアの建国者・アブドゥルアジズ(イブン・サウド)はかつてアラビア半島の実力者であったサウド家を再興、半島を武力統一する。「アラビアのロレンス」が支援したフセインが建国したヒジャーズ王国を滅ぼし、宗教上の敵対者も排除して、近代国家・サウジアラビアの建国に至る。
・イスラム教の原則では(利息を前提にした)銀行の設立は認められないが、サウジアラビアでは中央銀行の役割を果たす通貨庁1952年に設立、紙幣(リヤル)の発行が1961年から始まる。
・1938年サウジアラビア初の油田がアメリカ資本の協力で発見、その後も油田が多く見つかり石油産業を中心にした経済外交政策が進められる。
・1945年2月アブドゥルアジズは米大統領フランクリン・ルーズベルトと会談、安全保障や石油開発について協議した。この時ルーズベルトはイスラエルの建国について同意を求めたがアブドゥルアジズは拒否したと伝えられる。
・1955年日本と国交樹立、1958年アラビア石油を設立し、地質調査や試掘が始まり1960年大規模海底油田が発見され、日本企業として初めて海外での油田発見となった。
・2015年サルマーンが現在の第7代国王に即位した。アブドゥルアジズの25番目の息子といわれる。国王のもと2人の皇太子が廃され息子のムハンマドが皇太子となり、現在のサウジアラビアを実質的に率いている。
・ムハンマドは副皇太子時代から「ヴィジョン2030」を発表し、石油と天然ガスにすべてを依存する現状を脱し多角的な経済発展や雇用を生む改革を進めている。
◉今日の一句
朝ベランダから垂水沖を見ると、太刀魚やしらすなどこの時期の漁をする白い小型の漁船が10数隻集まっている。漁場はほぼ決まっている。

朝ぼらけ太刀魚船の競う沖
「一冊でわかるサウジアラビア史」

































