2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

下関の歴史絵図/長州藩越荷方(こしにかた)のことなど

山口県下関市立歴史博物館では現在「タイムスリップ!~絵図・地図に描かれた昔日の下関」と題した企画展が開催されている。 ホームページを見ると下関(江戸時代は赤間関)に遺る、江戸時代から近代にかけての絵図や地図を展示して昔日の様子や街並みの変遷を…

「坂の上の雲」⑬技術者の日露戦争

日露戦争は国力や物量が何倍もある国に戦いを挑み、色々な条件幸運などが重なり辛うじて勝ちを制した戦いであった。ここではその勝ちに向けて明治の技術者が果たした役割の中から二つの例を書いておきたい。 ①下瀬火薬 海軍省兵器製造所に勤務して砲弾の炸薬…

「金子みすゞ・魂の詩人」

NHKEテレに「100分de名著」という番組があり、先日「金子みすゞ詩集」が本来25分刻みで4回に分けたものを100分連続で一挙に再放送された。 この放送がされていることを中学同級生のグループLINEで連絡があり、放送後も同郷の詩人として話が盛り上がっ…

インドの先行きなど

インドの人口が中国を抜いて世界一(2023年でおよそ14億3千万人)になったことが最近色々なマスコミでとりあげられている。 4~5年前に孫とインドについて話して以来インドの将来は私のウオッチテーマのひとつにしてこのブログでも書いたことがある。…

「坂の上の雲」⑫遼東半島と旅順

明治のまだ世界が帝国主義の論理で動いていた時代、日本は中国・清(しん)と戦い遼東半島、台湾、澎湖諸島を獲得した。 満州(中国東北部)を狙っていたロシアは直後に独・仏と語らい遼東半島の放棄を迫る、三国干渉である。国力の不足を自覚していた日本はやむ…

「陥穽(かんせい) 陸奥宗光(むつむねみつ)の青春」

3月から始まった日経新聞に連載中の作家・辻原登さんの小説「陥穽 陸奥宗光の青春」を毎日の日課にして楽しみに読んでいる。 陸奥宗光は日本外交の草分け時代、外務大臣として不平等条約改正や日清戦争対応に尽力し「陸奥外交」の名前を残した明治の外交官…

「坂の上の雲」⑪超弩(ド)級

3月28日「坂の上の雲」⑩の続き。 超ド級のホームラン、超弩級のスペクタクル映画、などと今までの常識を超えたようなことを形容して使われる超ド級という言葉がある。 日本語にひどくびっくりさせることを表現する「度肝を抜く」というよく似た表現がある…

映画「イングリッシュ・ペイシェント」

NHKBSプレミアムシネマで放送された米映画「イングリッシュ・ペイシェント」を録画してようやく観終わった。 とにかく160分以上の映画なので時間が有るときに観ようと思いついつい後廻しになってしまった。 1997年のアカデミー賞で作品賞を始め9部門…

「港町巡礼・海洋国家日本の近代」

稲吉晃著「港町巡礼・海洋国家日本の近代」吉田書店刊を読み終えた。 著者は人文社会科学系の研究者で、この本は海外との窓口が港に限定された近代、日本の港が開かれた1850年代から海を越える人の移動手段が船舶から飛行機へと転換し、コンテナの登場に…

「雑草という草はない」

現在放送されている朝ドラ「らんまん」の主人公のモデル植物学者・牧野富太郎博士の有名な言葉のひとつが「雑草という草はない」というものであるらしい。 雑草、雑木(ぞうき)、雑魚(ざこ)などの言葉があるが雑という言葉を辞書でみると ・やりかたが念入り…

「抗日中国の起源・五四運動と日本」

武藤秀太郎著「抗日中国の起源・五四運動と日本」筑摩書房(筑摩選書)刊を読み終えた。 現代中国に繋がる歴史的事件として天安門広場の記念碑に刻まれているのが、古い順に、・アヘン戦争の起点になった林則徐がイギリスのアヘンを破棄する行動、・太平天国の…

NHKドラマ「心の糸」

録画したNHKドラマ「心の旅」は観終わって清々しくまた気持ちが前向きになれるドラマである。 観ている最中に気が付いたのだが、出演者が現在の年齢よりだいぶ若いことから観終わって分かったのだが元々初めて放送されたのは2010年らしい。 今回は再放送…

「わたしの芭蕉」

加賀乙彦著「わたしの芭蕉」講談社刊 を読み終えた。 俳句をかじり始めて八ヵ月、一向に進歩が感じられない中で何か得ることが出来るものがないか悩んでいるが、たまたま図書館で俳句の本棚を見ていると旧知の小説家が書いた芭蕉の本が目について表紙の絵に…

「図書館への切なるお願い」

施設の図書室に置いてある月刊誌・文藝春秋4月号に歴史小説分野での直木賞作家・今村翔吾さんが「図書館への切なるお願い」と題する文章を寄稿されている。 その要旨は以下のような事と思われる。 『出版不況と言われる昨今の状況の中で、話題となった作品…

「苗字の歴史」

豊田武著「苗字の歴史」吉川弘文館刊を読み終えた。 この本は日本中世史を研究する著者が苗字(名字)の起こりからその発展する歴史や色々な名字の由来を地方豪族や武士団の成長等とも絡めて論じたものである。 あまりに範囲が広いのでここでは私の個人的興味…

「業(ごう)の花びら~宮沢賢治 父と子の秘史」

NHKBSプレミアムで放送された番組「業の花びら~宮沢賢治 父と子の秘史~」を録画していたがようやく観ることが出来た。 宮沢賢治といえば誰でも知っている詩人で童話作家だが、私の好きな作品は、学校でも習ったことがある詩、「永訣の朝」「雨ニモマケズ」…

神戸の歴史④応仁の乱と防長の雄・大内氏

4月6日の続き 西国から上って来る軍勢が兵庫神戸で戦うことになるケースの最後は私の郷里にも関係する大内氏の「応仁の乱」にまつわる戦いである。 室町三代将軍・足利義満に始まる勘合貿易・対明(みん)貿易は「応仁の乱」当時まで兵庫湊が中心であった。 …

日銀の次の一手

昨今の国内の色々なニュースの中でも日本銀行総裁が交代したことに関連する情報は大いに注目されているもののひとつで、日本の将来にも影響があると思われる。 前任の黒田総裁が行った10年間にわたる異次元金融緩和については、色々なメディアがその評価を…

朝ドラ「らんまん」と郷校(きょうこう)

植物学者・牧野富太郎博士をモデルにしたNHKの朝ドラ「らんまん」が始まっている。現在主人公の万太郎の少年時代が進行中で、生家一帯の領主が設けた郷校に平民の子弟ながら通うことになり大きな刺激を受ける。 牧野富太郎が生まれた土佐(高知県)佐川の給領…

「人生がラクになる数学のお話43」

柳谷晃著 「人生がラクになる数学のお話43」文芸社刊 を読み終えた。 数学者である著者は、我々が生きている世界で自然現象などの偶然の事象によって引き起こされる被害や恵みに対し、その恵みを最大限に享受し被害を最小限にするための道具が数学や物理で…

『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』

磯田道史(いそだみちふみ)著『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』NHK出版新書 を読み終えた。 最近TVの歴史番組などで頻繁に顔を見かける歴史家・磯田道史氏が、司馬遼太郎さんの作品から体系的に戦国時代から昭和までの日本史を学べるように書いた本である。一般…

映画「キネマの神様」

NHKBSプレミアムで放送された2021年の松竹映画「キネマの神様」を録画して観終わった。 松竹映画の100周年記念映画ということで現在も松竹のエースというべき山田洋次監督が作家・原田マハさんの同名小説を映画化されたものである。 ネタバレを避けて…

「鉄砲とその時代」

三鬼清一郎著「鉄砲とその時代」吉川弘文館 刊を読み終えた。題名から見ると鉄砲伝来からその活用や影響などについての研究書と思われ私もそのつもりで図書館から借り出した。 実際は鉄砲やキリスト教の伝来が社会に大きな影響を与えた時代すなわち、織田信…

厚狭毛利家代官所日記No59慶応3年(1867)⑦隠し田の摘発

これまで書いてきたようにこの時期の厚狭毛利家では財政が逼迫、色々な打開策を打ち出しているがこれもその一つである。 7月5日の記録を現代文に直す 『年貢の付加されていない田畑を所持するものがままあることを聞く、これは不毛の地を開き屋敷地または…

「神戸の歴史」③湊川(みなとがわ)の合戦

3月30日の続き 西国からの軍と都を守る側との間で神戸の中心部が戦場になった歴史にはもうひとつ有名な戦いがあり、それが楠木正成が戦死した湊川の合戦である。 後醍醐天皇が親政を目指して各地の豪族を糾合し、元弘3年(1333)鎌倉幕府を倒した建武…

4月の句会/ゴルフ場の桜を観る会

☆昨日の午前中は住んでいる施設の俳句サークルl月例会があり私は前月の例会以降にこのブログに載せた句のなかから多少手を加え次の五句を出した。 ①【夜半の風「春一番」と叫びをり】 ②【ぽたり落つ赤き椿の潔(いさぎよ)さ】 ③【悲話伝ふ須磨古戦場東風(こち…

「宮本輝~ 人間のあたたかさと生きる勇気と」」

図書館でたまたま見つけ借り出した「宮本輝~人間のあたたかさと、生きる勇気と」北日本新聞社刊を読み終えた。 この本は富山市にある「高志の国文学館」と「姫路文学館」が平成29年と30年に開催した作家・宮本輝に関する特別展「宮本輝~人間のあたたか…

「逆転大名 関ヶ原からの復活」

河合敦著「逆転大名 関ヶ原からの復活」祥伝社刊を読み終えた。著者は最近NHKの番組「歴史探偵」でも解説役で出演されている歴史研究家である。 徳川幕府への道を開いた天下分け目の「関ヶ原の戦い」は戦後、各地の大名家が所領没収、削減、加増、安堵など悲…

「舞いあがれ!」が終わった。

NHK朝の連続TV小説「舞いあがれ!」が終わってしまった。 東大阪に住む病弱な少女が転地療養のため母親の故郷である長崎県五島列島の島に渡ったことで健康と、空への夢を得て挑戦する物語である。 最初の辺りは大学の人力飛行機クラブ「なにわバードマン」で…

書道展を鑑賞

昨日は施設の入居者の方から紹介を受け、灘区にある「兵庫県立原田の森ギャラリー」で開催されている書道展「第51回書ノ友社展」に出掛けてきた。 入居者の方のご友人がこの展示会に出品されているそうで、たまたま会場でその出品者の方と出会い作品も案内…