施設の映画会で2023年の日本映画「銀河鉄道の父」を鑑賞した。
作家・門井慶喜(かどいよしのぶ)さんの直木賞受賞作を映画化したもので「風の又三郎」「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」等で知られる宮沢賢治の、父親を主人公にした作品で父親役を役所広司、宮沢賢治を菅田将暉が演じている。
余談ながら私が一番記憶に残っている宮沢賢治の作品は、孫が小学校の学芸会で主役を演じた「よだかの星」で、演技も良かったが、宮沢賢治らしいストーリーに感動した。
映画は宮沢賢治の作品が世に出るまでの家族の物語といって良く、題名の通り宮沢賢治の最もよき理解者と云える父親と森七菜演じる妹を中心にしてストーリーが展開する。
内容はこの位にして、この映画を観たお蔭で子供の頃からずっと持っていた疑問のひとつが氷解した。
確か中学生(?)の時の国語の授業だったと思うが宮沢賢治の作品で「永訣の朝」という方言混じり旧かな使いの詩である。
けふのうちに
とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゆとてちてけんじや)
うすあかくいつそう陰惨な雲から
みぞれはびちよびちよふつてくる
(あめゆじゆとてちてけんじや)
*以降長い続き有り
繰り返し出てくる「雨雪を取ってきて下さい」という意味の方言「あめゆじゆとてちてけんじや」が強烈に記憶に刻まれている。
当時は余り深く意味を知ろうとはしていなかったが、この詩は賢治のよき理解者であった最愛の妹が結核で死ぬ直前、熱で乾いた口を癒すため外に降っている雪を取ってきてくれと頼んだ言葉を折り込み詠んだ別れの詩であることがこの映画のお蔭でよく理解できた。
🔘今日の一句
歩み止め桜しべ降る音を知り
🔘道端のカラスノエンドウ