中断中のひとりごと・映画「ディファイアンス」

NHKBSで放送された2009年の米映画「ディファイアンス」を長い間録画していたがようやく観終わった。

ディファイアンス・Defiance」は英和辞典で調べると凡そ「権力や敵対者などに対する挑戦的態度、公然たる反抗」などと訳されている。

周知の通り第二次大戦は1939年9月ナチスドイツのポーランド侵攻により始まり、当初はドイツがヨーロッパを席巻したが、当時ナチスはドイツ本国のみでなく占領地でも過酷なユダヤ人絶滅政策を進めた。

この映画は当時のポーランド領現在のベラルーシに住むユダヤ人四兄弟が、父親を殺された後にユダヤ人狩りを逃れて森に拠点を作り、頼って来たユダヤ人などを含めて約1200人と共同体を組織して生き抜く物語になっている。

字幕解説でこの映画は実話に基づくとあるが、飢餓、寒さ、ドイツ軍やその協力者との戦闘などの描写から、ユダヤ人の置かれた状況は迫り来るものがあり、大戦後のイスラエル建国、中東戦争、現在のガザに於ける戦闘と繋がる歴史に目を向けざるを得ない気がしてくる。

共同体のなかでの助け合いや役割分担、飢餓や考え方の違いから起きる争いやその決着など、生き抜くためには何が必要なのかを観るものに感じさせるところがある。

ユダヤ人側の視点で描かれているので見過ごされ勝ちになるが、彼らが生きるために食料の強制調達に行く先は、ナチスではなく決して豊かとは言えないベラルーシのスラブ系住民のところであり、この辺りに現在のパレスチナ紛争の根源の一端を見た気がした。

監督のエドワード・ズウィックはどこかで聞いた名前だと思って調べてみると、トム・クルーズ主演の「ラストサムライ」を監督した人とのことで納得した。

ほとんどの出演者には初めて出逢ったような気がするが、例外は兄弟の長男で共同体のリーダーを演じるダニエル・クレイグ、精悍な感じが役に嵌まっているが6代目の007ジェームズ・ボンド役が印象深い。

 

🔘今日の一句

 

三月や暦にみすゞ雀の詩

 

🔘施設の庭の水仙