中断中のひとりごと・三月句会

昨日は住んでいる施設の定例三月句会で15人全員の出席であった。

私はここしばらく詠んだなかで今月の兼題「海苔」一句を含む以下の五句を出した。

①海苔舟が網潜(くぐ)り刈る須磨の朝

住んでいる直ぐ近く「須磨の浦」は海苔養殖が盛んで、今が収穫シーズンでもあり海苔舟が操業している。最近は省力化が進み、舟を網の下に潜らせて進むことでローラー状のもので海苔を刈り取る方法が採用されており、この風景を詠んでみた。

②数字にも去年(こぞ)が浮かびて納税期

今まで確定申告は税理士にお願いしていたが、今年から自分でするつもりで、手引き書をなぞりながら集計し数字を書き込んでいく過程で、数字のなかに去年のことが現れているなと感じた気持ちを詠んだ。

③笑う子の口許溢るよもぎ

外出時によもぎ餅を買い久しぶりに食べてみて、昔の自分や子供の仕草を想い出しながら詠んだ。

④強東風(つよごち)に動かざる雲走る雲

風の強い日ベランダから見ていると、風に流される雲と風に動じない雲が見えたのを、人にも置き換えられるなと思い詠んだ。

最初は動かざる雲動く雲としていたが強東風に対応するには走るにした方がいいのではと思い修正した。

ホスピスを見守り集ふ黄水仙

住んでいる施設の近所にあるホスピス水仙が群生する形で植えられている風景を詠んだ。

・結果は④の句が4人の方から選に入れて頂き、内2人の方は特選で誠に望外の結果だった。

・また③の句はひとりの方から並選に入れて貰った。

・施設内に掲示する3句は④、③、①とした。

・私が一番気になった句は

野面積(のずらづみ)あちらこちらのひこばゆる

野面積という古い石垣の積み方と、ひこばえ・ひこばゆという古い切り株に生える若い芽のことから、きっと城跡を詠んだものに違いないと思い質問したところ、近江(滋賀県)坂本城とのことで明智光秀ゆかりの城であった。

野面積みは自然の石をその大小に応じそのまま組み合わせて築く工法であり、戦国時代を通じ近江の穴太(あのう)地域の石工集団・穴太衆(あのうしゅう)などが伝承しその見た目以上の堅牢さが評価されているが、関ヶ原合戦以降になると攻め手が石垣をより上りにくくして更に堅牢にするため、石を整形して隙間を少なくして積み上げる工法が一般的になる。

🔘施設内、プリムラ・シネンシス(サクラソウの仲間)