映画「風とライオン」

NHKBSで放送された1975年のアメリカ映画「風とライオン」を録画、じっくり鑑賞させて貰った。

私自身の記憶に残る10本の映画を挙げろと云われると、この映画はそのひとつになるだろうと思ってる。

私はこの映画を公開直後に大阪道頓堀の「松竹座」で観た気がするので、多分昭和50~51年頃で遠い昔の事ながら鮮烈な印象があり、毎日の録画ルーチンで番組表にこの映画を見つけたときはとても嬉しかった。

20世紀初め1904年の北アフリカ・モロッコが舞台、植民地化の荒波が寄せる時代で、これに抗するベルベル人・リフ族の首長がアメリカ婦人とその二人の子供を誘拐、当時のアメリカ大統領・セオドア・ルーズベルトと駆け引き対決することになる。

これに当時のモロッコの主権者でリフ族首長と血縁になるスルタン、権益を狙うドイツ、アメリカ軍などが絡んだ壮大な歴史アクションであり、リフ族首長は実在の人物をモデルにしているとのことである。

リフ族首長にショーン・コネリー、誘拐され首長と心を通わせる婦人にキャンディス・バーゲンルーズベルト大統領にブライアン・キースといった配役であり、知力胆力武力を兼ね備えたショーン・コネリー、勝ち気で知的なキャンディス・バーゲンははまり役、更に大統領の顧問役のジョン・ヒューストンは地味だが圧倒的な存在感がある。

私はこの映画でベルベル人に初めて出会った。北アフリカはアラブ人の国だとおもっていたが誤りで、現在も1000~1500万人の人口と独自の文化を擁するらしい。

ローマ帝国の時代を解説した本を読むと、地中海の覇権争いにヌミディア人、傭兵としてのヌミディア騎兵が頻繁に登場して来て会戦の行方を左右したりするが、これらはベルベル系の先住民族であることもわかった。

セオドア・ルーズベルト親日家であり日露戦争の講和・ポーツマス会議を斡旋した人物だが、今回映画を観ていて、大統領の誕生日食事会に日本人らしき人物がちゃんと配されていて、その考証の確かさに思わず唸ってしまった。

風とライオン」原題も「The Wind and the Lion」だがこれは最終章で出てくる、リフ族首長からルーズベルト大統領に宛てた以下の手紙の文章から取られている。

「あなたは風のごとく、私はライオンのごとし~~~私はライオンのごとくおのれの縄張りにとどまり、あなたは風のごとくとどまる地を知らず」

🔘今日の一句

 

宵の雨朝霞にて雲に帰す

 

🔘施設の介護棟屋上のマーガレット