夜郎自大(やろうじだい)

野郎でなく夜郎と言うと、映画にもなっている私の好きなコミック「深夜食堂」の原作者安倍夜郎さんを想い浮かべるが、「夜郎自大」という言葉を初めて知ったのは作家司馬遼太郎さんが旧日本軍部を非難して例えたのを読んだ時の様な気がする。

司馬遷が書いた中国古典「史記」に、南西域に夜郎という国がありその王が自らを漢と比べて「何れが大なりや」と言って漢の怒りを買い滅ぼされたとの記述がありこれが元で自ら過大評価する事を「夜郎自大」と言う事を知った。

今まで夜郎国が本当にあった国なのか、多少疑問に思っていたがNHKBS番組「秘境中国・山頂に響く魂の歌」で貴州省の山岳少数民族・苗(ミヤオ)族がこの夜郎国の生き残りで、戦火を逃れ逃避行を重ねた末の山岳地帯に、ようやく安住の地を見つけた事を教えられた。

この2000年前の戦いと逃避行を伝える叙事詩を朗々と唄う現在のシャーマンが歌と共に紹介されていた。
書く事が出来なくても詩や唄にして2000年の歴史を口写しで連綿と伝えているのは誇りの為、それとも未来の為か、辺境の少数民族にも背後に大きく長い歴史がある。

それはともかく安倍夜郎は本名だろうか?そんな筈ないか。