「坂の上の雲」⑮大諜報(だいちょうほう)

坂の上の雲」の読み直しで全6巻のうちの第5巻内にある「大諜報」という章に差し掛かっている。

諜報とはスパイ活動のことであり、わざわざ大と付けているのは日露戦争の決着に多大な影響を与えたことを意味している。

この章は日露戦争の裏で帝政ロシア内の革命勢力、民族主義者や占領下にあるポーランドフィンランドなどの反ロシア勢力を支援煽動したり軍事情報を収集した陸軍軍人・明石元二郎(あかしもとじろう)大佐(後に大将)の活躍を中心にして書かれている。

この章を読むとロシアとその周辺国との関係が歴史を含めて良くわかり、現在のウクライナの戦争で北欧諸国がNATO入りを望んだり、中欧諸国と共にウクライナを真剣に支援する国民感情や危機意識がよく理解できる。

開戦前ロシア駐在武官であった明石に秘密任務を指示したのは当時参謀本部次長の長州人・児玉源太郎参謀本部から100万円が渡された。

当時の100万円は計算方法にも依るが現在の100億円相当とも云われ戦後明石はその出納記録と共に残金27万円を返却した。

明石が大きな構想のもとに反政府組織に接触し、周到に金を撒いていくなかでロシアは大きく揺れ始める。

明石が出現する時期を画して社会不安はそれ以前に対して明らかに違う段階に入り暴動と破壊事件が頻発する。同年1月9日には有名な惨劇「血の日曜日事件」が発生し革命前夜という状況にたち至る。

司馬さんはこの時期の明石元二郎大佐の働きについて以下のように書いている。

『一個人がやったとはとうていおもえないほどの巨大な業績をあげたというべきであり、そういう意味では、戦略者として日本のどの将軍たちよりも卓絶しており、「君の業績は数個師団に相当する」と戦後先輩からいわれたことばは、まだまだ評価が過小であった。かれ一人の存在は在満(州)の陸軍のすべてか、それとも日本海にうかぶ東郷艦隊の艦艇のすべてにくらべてもよいほどのものであった。』

 

【道草のおほばこ相撲茎辛し】

 

🔘健康公園の雑草ではないシリーズ、テマリツメクサと思われる。