映画「ベルファスト」

施設の映画会で上映された2021年のイギリス映画「ベルファスト」を観せて貰った。映画会と云っても観客は私一人でシアターの貸し切り状態だったのだが。

日本では2022年に公開されたようで同年のアカデミー賞脚本賞を受賞している。脚本は監督と共にケネス・ブラナーで「ナイル殺人事件」などで名前を聞いたことがある。

ケネス・ブラナーはイギリスの北アイルランドの都市・ベルファストの出身でこの映画に自伝的な要素を織り込んでいるらしい。

出演者で見覚えがあり目を惹いたのが主人公の少年・バディの祖母役を演じたジュデイ・デンチの懐かしい顔で、007ジェームス・ボンドの上司・Mで記憶に染み付いてしまった。

イギリスを構成するのはブリテン島とアイルランド島の北部・北アイルランドで、ブリテンプロテスタント主体に対し北アイルランドカトリックが主体であり、清教徒革命時の武力衝突という歴史的な経過も踏まえ、長い間その帰属や信条を巡って紛争が継続しワールドニュースにも頻繁に登場する。

このモノクロ映画はその紛争が激しかった1969年のベルファストを舞台に9才の少年・バディの目を通し、家族や隣人のなかで幸せに暮らす生活が、過激な対立で波立ち、遂に安穏な生活を求めてベルファストから家族と共にロンドンへ脱出するまでが描かれる。

命がけで子供を守る母親、宗教などの違いで区別や差別はならないと説く父親、ユーモアと優しさで見守る祖父母など家族の描き方が秀逸で重苦しい現実に救いを与えている。

シアター貸し切りで良い映画であったことと併せて何か少し得した気分になっている。

余談ながらアイルランド島アメリカ移民の最大の供給地のひとつであり本島の人口は600万人程度なのにアイルランドアメリカ人は4000万人にも及ぶことが司馬遼太郎さんの「愛蘭土(アイルランド)紀行」に書かれている。

アイルランドアメリカ人で最も有名なのはケネディ元大統領であろう。

🔘一日一句

 

蟠(わだかま)る思いを解(ほど)く秋の風

 

🔘昨日夕方、南東の空が赤く染まっていた。位置的に夕焼けでもないし30分程度の不思議な天体ショ-だった。夕焼けの反射だろうか?