スエズ運河の座礁事故で思ったこと

スエズ運河の岸に座礁し運河を塞いでいた、日本船籍で台湾の企業が運航している最大級のコンテナ船が、ようやく離礁作業が成功し、運河の通行が再開されて通常の2倍の通行量になっているニュースが流れている。

大潮で水位が上がる機会を利用して座礁した部分の大量の土砂を浚渫(しゅんせつ)、大型タグボートで牽引して離礁出来たようだが、世界中の物流や海運、輸出入企業の関係者多数が固唾(かたず)をのんで見守り、胸をなで下ろしたに違いない。

私はスエズ運河を未だ直接見たことはないが、映像で一番印象に残っているのは、映画「アラビアのロレンス」で、トルコ軍が守備する要衝「アカバ」を攻略したことをエジプト・カイロに有ったイギリス軍司令部に報告するため、ロレンスが砂漠を横断してスエズ運河に到着した時の映像である。

今回の事故で見た運河の岸辺の状況と1962年に公開された「アラビアのロレンス」の岸辺の映像とあまり変化が無いことに却って驚いた。

通常あれだけの大動脈で通行料収入も莫大なら、コンクリート護岸で岸辺は垂直に近い形で深く掘り下げ、船が岸に多少接触しても座礁しないようにするのが当然と思うのだが、石積みのままである。

通行が頻繁すぎて大規模工事が出来ないのか、エジプトの政治経済状況によるものか分からないが、今回の事故の発端になった霧や、砂漠に近いため砂嵐が起きやすい地勢の中で不思議に思えてならない。

もう一つがあの世界最大級といわれる座礁コンテナ船に積まれた膨大なコンテナの数々である。
タイで勤務していた当時、担当していた工場は輸出用の大型冷蔵庫を生産しており、毎日のように40フィート大型コンテナへの積み込み作業が幾本もあった。

その中には今回の事故の当事者、台湾「Ever green・正栄海運」と同じコンテナ名も多数有った記憶があり、ヨーロッパ向けも多く、多分これらは同じスエズ運河経由であったと思われ、昔を思い多少の感慨を覚えた。

あの船の18000本といわれる大量のコンテナには、その生産を受け持つ工場の努力の結晶が山と積み込まれている筈である。

◎ジャガイモ成長記②
90株全てで芽が出てきた。適度な雨が幸いしている。