映画「わが谷は緑なりき」

NHKBSのプレミアムシネマでまたまた良い映画を観てしまった。題名は「わが谷は緑なりき」でアカデミー作品賞などを受賞している。
監督がジョン・フオード、女優の一人がモーリン・オハラと出た時点でジョン・ウエインが出てくるような古典的な西部劇を予測したが全く違った。

物語は19世紀末、イギリスのウエールズ地方の緑多い谷間に開かれた炭鉱で働く信仰深く誠実で勤勉な大家族一家と、この炭鉱町の変遷を家族の末っ子の目を通して描かれる。映画の冒頭は初老になったこの末っ子が母の形見のショールに小さな荷物を包み、この町を出るところから始まる。

長兄の結婚、姉の恋愛、自分の学業等のエピソードを交えながら炭鉱特有の労働争議、落盤事故などが続き街の環境が緑から黒く変わっていくなかで人心が荒廃した部分も出始める。

長兄を事故で失い周囲から学業優秀で将来を期待されるが、自らは父や5人の兄と同じ炭鉱夫を選択して働き始める。

兄達が炭鉱を解雇され新天地アメリカなどに出ていくなか、父と共に炭鉱で働き続けるもその父親も落盤事故で亡くなる。
父を見習い炭鉱で誠実に働き続けた末っ子も初老を迎え、緑を無くした町を想い出を携えて出ていく。

映画を観ながら二つの事を考えた、以下余談ながら。

①元々ウエールズは13世紀にイングランドに征服された歴史があり、連合王国・イギリスを構成する4つの国(イングランドスコットランドウエールズ北アイルランド)の一つで英国王室(イングランド王家)の皇太子は歴代プリンスオブウエールズの称号を与えられている。

アメリカ合衆国はこのようなイギリス各地方からの移民によって建国されている

第二次大戦当時シンガポールを基地にするイギリス東洋艦隊の旗艦は、この皇太子の称号を持つ戦艦・プリンスオブウエールズ日本航空部隊は真珠湾で米軍に攻撃をかけるほぼ同時期にこの戦艦と巡洋戦艦・レパルスを撃沈、イギリス首相・チャーチルを嘆かせた。

②以前このブログにも書いたが、私のふるさと厚狭を含む山口県西部と北九州域は日本有数の石炭の産地で、私の若い頃昭和時代の新聞には、落盤、炭塵爆発、出水等の事故、更には石炭から石油へのエネルギー転換から来る人員整理と閉山、労働争議などが毎日のように載っていた。

国は違っていても石炭産業で生きた人々や地方には、国の発展に大きく貢献した日々と、その後の苦しい時代がともに確かにあった。

◎近くの自衛隊駐屯地のフェンス近くの野草
ヒルガオだろうか、蜂が蜜を採りに。
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