「抗日中国の起源・五四運動と日本」

武藤秀太郎著「抗日中国の起源・五四運動と日本」筑摩書房(筑摩選書)刊を読み終えた。

現代中国に繋がる歴史的事件として天安門広場の記念碑に刻まれているのが、古い順に、・アヘン戦争の起点になった林則徐がイギリスのアヘンを破棄する行動、・太平天国の乱、・辛亥革命、・五四運動である。

五四運動とは今からおよそ100年前に起こった事件で、この本の中に載せられている高校教科書の内容を転載すると

『中国では、第一次世界大戦中に日本がドイツの拠点であった青島を占領し、山東(半島)権益の継承をふくむ二十一か条要求を中国に認めさせた。中国は戦後のパリ講和会議山東権益の返還を要求したが受け入れられなかった。これをきっかけに、1919年五月四日、北京で学生を中心とする反日運動がおこり全国の主要都市にひろがった。』

著者は五四運動に関連する事実を党派性を排して中立的立場から丹念に追究し、

・この運動の中心になったのが日本への留学生であったことに着目し、彼らが今日の反日と知日に繋がる抗日と知日の一見相反する対日感情を併せ持ち、その後の中国人の対日感情を決定付けるような意味を持っていた。

・同時期の日本に於ける大正デモクラシー運動は五四運動と密接に関係したもので、これらは国家の枠組みを超えたトランスナショナルな「思想運動」であった

ことなどを提示していく。

これらを追究する過程で当然ながら中国の近現代史を概観することになるが、なかでもこの運動に関係の深い中国の教育の変遷を詳述しており参考になった。

その過程で「初恋の来た道」などで有名な巨匠チャン・イーモウ監督の1999年田舎の小学校が舞台の中国映画「あの子をさがして」が例に出てきたが、私の記憶に残る映画のひとつで非常な懐かしさを覚えることになった。

 

【遠足の黄帽子溢る駅ホーム】

 

🔘健康公園には山桜の樹が何本か有り当然ながら花が散って若葉が繁り始めているが、見上げるとマッチ棒大の実を付け始めている。サクランボと違い桜の実がこのようなものだと初めて知った。