3月から始まった日経新聞に連載中の作家・辻原登さんの小説「陥穽 陸奥宗光の青春」を毎日の日課にして楽しみに読んでいる。
陸奥宗光は日本外交の草分け時代、外務大臣として不平等条約改正や日清戦争対応に尽力し「陸奥外交」の名前を残した明治の外交官である。
また青春時代には坂本龍馬を師と仰ぎ「海援隊」で活躍したことは広く知られている。
しかし陸奥の特に前半生は以下のように苦難の道が断続的に続いていたことはあまり知られていない。
・高禄の紀州藩(和歌山県)士の子として生まれたが、父が政争で罪を受け母と子は所払いで郷里を追放され苦難の少年時代を過ごした。
・師の坂本龍馬が凶刃に倒れた後、犯人と思い込んだ人物への襲撃事件を起こす。
・明治政府に出仕後「藩閥政府転覆計画」に加担して5年の刑を受け山形監獄に収監される。
明治16年出獄後、伊藤博文などの後押しでロンドン・ケンブリッジ大学に留学、帰国後外務省に奉職、以後の活躍はよく知られている。
現在の連載は苦難の少年時代と山形監獄での回想が入り交じり、今まで知らなかったことが多く有って興味が尽きない。
私の故郷出身で唯一の大臣・外相青木周蔵はこの陸奥とほぼ同時期に駐独、駐英公使や大臣を勤め共に不平等条約改正に尽力している。
青木周蔵は長州の出身でいわば藩閥に連なるが、陸奥は伊藤博文などの知遇を受けつつも出身からして反薩長藩閥の思考であり、この両者の関係がこれからどう描かれるかにも興味がある。
【陽炎や故郷の記憶ゆらめきて】
🔘健康公園の雑草ではないシリーズ、ヘラオオバコ