「坂の上の雲」⑪超弩(ド)級

3月28日「坂の上の雲」⑩の続き。

ド級のホームラン、超弩級のスペクタクル映画、などと今までの常識を超えたようなことを形容して使われる超ド級という言葉がある。

日本語にひどくびっくりさせることを表現する「度肝を抜く」というよく似た表現があることから日本語由来と思われることも多いが、これはイギリスの戦艦・ドレッドノート号からきた言葉でド級戦艦、超ド級戦艦と言われた。

司馬遼太郎全集の月報23号に元海軍技術将校で艦艇研究の福井静夫氏が「坂の上の雲」を踏まえて「軍艦より見た日露戦争の影響」と題してこの事にも触れた内容を書かれている。

戦艦を主力とする両軍が洋上で雌雄を決した世界最初の海戦は日露戦争日本海海戦であった。この戦訓が以後の二十世紀に与えた影響は図り知れないものがあるがその一つが大艦巨砲主義で、戦艦はドレッドノートが代表するド級戦艦時代に入る。

日露戦争の推移を注視していたイギリスは従来の建艦計画を中止し、官民の一級技術者や学者を集め新時代の戦艦の設計を行い従来の2倍の主砲力を持つ戦艦を試作した、これがドレッドノートでありドレッドノート革命とも呼ばれる。

主要国は競ってこの種の新型戦艦の建造に走り、日露戦争当時の最大艦が一万五千トンであったものが十年後の第一次大戦開戦時には三万トン、十五年後の大戦末期には五万トンといわれるまでになる。

技術的にも船体材料が高張力鋼、燃料が石炭から重油に変わりタービン機関が実用化される。

この建艦競争の過程でド(弩)級、超ド(弩)級という言葉が生まれ定着していき戦艦以外にも使われるようになっていく。

今の我々には想像もつきにくいが、まだヨチヨチ歩きと思えるアジアの小国の海軍がヨーロッパ列強の一角である国の海軍を全滅させた海戦は、世界に衝撃を与えその後に大きな影響をもたらしたことは間違いない。

 

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