映画「戦争と平和」を観て思ったこと

NHKBSプレミアムで放送された1956年のアメリカ、イタリア合作の大作「戦争と平和」を録画して観終わった。

言うまでもなくロシアの文豪トルストイの原作を映画化したもので監督がキング・ヴィダー、主人公のナターシャ役が絶頂期のオードリー・ヘップバーン、他にヘンリー・フォンダ、メル・ファーラーなど大作にふさわしい豪華な布陣になっている。

19世紀初頭帝政ロシアの貴族階級の華麗な生活、恋愛などを縦軸に、同時期にヨーロッパを席巻したナポレオン戦役を横軸に物語が進行していく。

当時のオードリー・ヘップバーンは相変わらず魅力的ではあるが縦軸のストーリーの方は全く興味が湧かず、ヘンリー・フォンダやメル・ファラー達が若いのをみて月日の経過を感じてしまった。

しかし現在ウクライナにロシアが侵攻しているという現実の前で、横軸になっているナポレオン戦役に観入ってしまった。

特に有名なアウステルリッツの戦いを勝利したナポレオンはロシアに侵攻、ボロジノの戦いを経てモスクワを占領するまでが前段になる。

ロシア軍を率いるクトウ-ゾフ将軍は戦力を冷静に分析し、交戦すれば負けることが必至として焦土後退作戦で国土を自ら焼いて食料を残さず東へ後退、首都・モスクワも放棄する。

映画のなかで幕僚達から応戦を進言されたクトウ-ゾフ将軍は「今戦えば負ける、私は軍と皇帝と国民が望むものを与える、フランス兵を一人残さず追い出すことだ、時期が来たらそれを実現して見せる」と告げ批判のなか信念で焦土後退を継続する。

この作戦でロシアは多大な犠牲を出しながらも冬将軍を味方につけ、ナポレオンのフランス軍は食料も調達できず撤退を開始、クトウ-ゾフ将軍はこれを追撃してロシアは解放される。

この教訓は第二次大戦でナチスドイツがソ連に侵攻した「バルバロッサ作戦」にも生かされ、冬将軍とともに耐え抜いたソ連軍が欧州の東部戦線を勝ち抜きベルリンを落としてヒトラーを自殺に追いやる。

日露戦争の陸戦でも旧満州で日本軍は勝ち続けロシアは後退し続けたが、日本海海戦で日本が勝ちきらずロシア国内で革命騒動が無かったら、最後の陸戦はロシアの反攻が待っていたかもしれない。

戦術的には負けても戦略的に勝つことがより大切なことを教えてくれているような気がする。

今ロシアによるウクライナへの侵略が行われているなかで複雑な気持ちを抱かせる映画でもあった。

 

【朝寒に 鳶(とんび)舞うのも 辛かろう】

 

🔘辛夷(こぶし)というと千昌夫さんの「北国の春」を唄いたくなるが、公園の辛夷の樹には猫柳のような毛を持つ固い蕾(つぼみ)がつき始めている。季節的に少し早すぎるように思うのだが。