「海軍さんの珈琲」

知人から珍しい「海軍さんの珈琲」なるものを頂いた。

陸軍に比べハイカラであったといわれる旧海軍軍人が愛飲していたものを、かつての軍港・呉の珈琲店パプアニューギニアから輸入したアラビカ豆を原料にして再現したとのことである。

豆をここから直輸入していると書かれているニューギニア島ポートモレスビーとラエの港は、かつて太平洋戦争時の日本軍と連合軍が激戦を繰り広げた地でもあり何かの縁かもしれない。

箱に入っているパンフレットには〈帝国海軍四鎮守府発〉「海軍さんの珈琲」と書かれてあり、呉、横須賀、佐世保舞鶴の各々の鎮守府(ちんじゅふ)毎の4種類の珈琲があるらしく今回頂いたのは広島県の呉鎮守府発である。

海軍鎮守府はいわば日本海軍の根拠地として艦隊の後方業務、所属艦艇の管理、補給、出動準備、兵員の徴募・訓練、軍港の管理などを行った。

例えば日露戦争日本海海戦を指揮した東郷平八郎佐世保舞鶴鎮守府司令長官を歴任した後、連合艦隊司令長官に就任している。

また太平洋戦争の開戦・真珠湾奇襲を告げる暗号電報「トラトラトラ」を連合艦隊司令長官山本五十六は呉鎮守府管内の旗艦・戦艦長門に座乗して聞いた。

鎮守府の遺された文化財、施設、設備などは日本遺産として登録されている。

〈誠に余談ながら、元々鎮守府とは古代律令制度の中で蝦夷(えみし)などを押さえる拠点として東北地方に設けられたもので、有名な八幡太郎源義家鎮守府将軍に任官している。明治になって名称が海軍に転用された〉

早速フィルターを用いて淹れてみたが、普段飲んでいるものに比べやや苦味が増したような感じがして珈琲らしい新鮮な味わいで、ロールケーキと共に美味しく頂いた。

 

【 珈琲の 苦味きりりと 朝時雨】

 

🔘施設の近くのススキ群、秋もぼちぼち終わりに近い

遠くに見えるのは垂水の海

手前の赤色の葉はナンキンハゼと思える

手前の蔓性の植物は葉の形からクズと思われる