「武士の衣服から歴史を読む/古代・中世の武家服制」

佐多芳彦著「武士の衣服から歴史を読む/古代・中世の武家服制」吉川弘文館を読み終えた。著者は歴史学の教授で貴族社会の服装研究の延長で興味が武士に広がりその風俗研究のなかから衣服に絞ってたどり着いたのが本書ということである。

通常現代の本は右開きが多いが、この本は左開きで横書きの文章、歴史関係でありながら少し不思議な著者の個性が反映されているのかも知れない。

歴史の本、特に武士に関する本を読んでいると必ず武士の出で立ちを表す表現で「鎧直垂(よろいひたたれ)」などの表現に出合う。

また、「折烏帽子(おりえぼし)・直垂(ひたたれ)・小袴(こばかま)」とセットで表現される場合もある。

表題のようにこの本は武士が台頭する平安時代後期から武家の世がほぼ出来上がる室町時代までを対象にして、武士の地位の変遷を横軸に通し、武士の主装束ともいうべき直垂を中心にして、それがどのように変化定着発展していくかを追及している。

そのなかで表題に武家服制とあるように、公私の区分、材質、装飾、着用の場面、更には最も重要と目されるヒエラルキー(階層・身分など)などによってどのような違いがあるか等が説明される。

特に絵巻物、図屏風、絵伝など馴染みのある絵画史料を用いて説明していく手法は分かりやすく説得力がある。

歴史を追及するなかには一般的な政治、軍事、民政などに拘らず、このようなニッチな部分を探求する手法もあるのだと妙に感心してしまった。

🔘今日の一句

 

歩き食い行き交う師走中華街

 

🔘施設介護棟の庭、これもエリカの一種らしい、