「値上げもう謝らない」

物価と賃金が上がらない約30年を経て外からのエネルギー価格の上昇や、内なる人手不足、金融緩和などの影響からか、ようやく値上げや賃上げが受け入れらていくような兆しが素人目にも感じられる。

現在の物価上昇は食料品の上昇が牽引していることはデータが示しているが、

その食品大手・味の素の藤江社長が日経新聞のインタビューで「値上げもう謝らない」という刺激的な見出しのもと企業が値上げを謝らなくて済む社会の実現が、デフレからの脱却、企業や国の成長に必要だと述べている。

確かに今まで各企業が値上げをする場合経営トップが「申し訳ないがこういう理由で値上げをさせて貰う」と頭を下げる場面を色々と見てきた気がする。

値上げで困る人や会社がいる以上当然の事として社会が受け止めて来た気がするが、正当な理由で自ら判断して値上げし、従業員や社会に還元することは本来経済を好循環させる為に必要な事だと思われる。

確かにそれによって困った人が出た場合はセーフティーネットで救済することが前提であるが、正当な値上げも出来ず我慢するより、必要な値上げによる競争原理が働くことが社会のより良い姿や成長へと導くことにつながる。

近年日本に於いては、売る側と買う側との立場が対等でなく、行き過ぎた「お客様は神様」という概念が浸透し、買う側があたかも大きく優越しているような感覚になっていた気がする。

現役時代、海外で幾つものカルチャーショックを受けて来たがその内の一つが、「売り手と買い手はあくまで対等である」という意識が日本より格段に浸透していると感じられることであった。

日本が買う側優位の意識になった背景は、技術を磨いて顧客満足度を挙げるという意識が強いこと、同じ商品を扱う企業が多く競争が激しかったこと、等々あると思われるが根底には、勤勉で相手に気を遣うといった国民性が作用したところがあるのかもしれない。

最近言われているカスタマーハラスメントという言葉も、売り手と買い手が対等であるという考え方が少しずつ浸透すると自然に減って行くような気がする。

確かに自分たちが作ったものに自信があるなら、コストに適正な利潤を乗せて世間に問うことが成長につながる経済の原則であり、謝るとかの問題では無いのだろう。

🔘今日の一句

 

裸木の羞じらふ傍に常緑樹

 

🔘施設介護棟の屋上庭園、ハマナスのような気がするが自信がない。