春闘と春季交渉に思うこと

色々なニュースで今年の賃上げ交渉が始まった事が取り上げられている。
世界各国の賃上げ率に比べ日本の賃金の伸びが長い間低く抑えられ、これが物価上昇率を含む経済の循環に対して著しく悪影響を与えていることは周知の事である。
云わばこの交渉は今後の日本経済の行方を左右するキーポイントの一つになりそうな気がする。

私自身がこの交渉の結果を直接受益することが無くなって久しいがーーー。
現役時代この交渉は「春闘春季生活闘争)」と呼ばれており労働者の鉢巻姿や「がんばろう!」の掛け声が懐かしいが、色々なニュースを見聞きすると現在では「春季労使交渉」と呼ばれるケースが多いようで、明らかに社会の受け止めや時代の流れを表しているような気がしている。

(それにしても高度成長期の年率30%の賃上げというのは今振り返ると一体何であったのか?事実であるが幻のようにも思える)

政府も、経済界も、労働側も総論では一定程度の賃上げは必要だとの認識は共有されているが各論になったら途端に歯切れが悪くなる。
価格転嫁出来るか、生産性の向上が先決といった迷いに加え、以下のような格差をどうするかといった課題も賃上げの中身に影響する。

・個別企業の業績の違い
・大企業と中小との体力差
正規雇用と非正規の格差
・男女の差

これらの課題に加え最近では生産性の低迷を打開する方策のひとつとして、働く側の職務内容をあらかじめ明確にして専門性を評価する「ジョブ型雇用」に関して、導入したい経営側と懐疑的な労働側でなかなか意志統一が出来ていないように見受けられる。
生産性の向上は得てして格差の拡大につながる可能性も持っている。

現役時代「生産部門」を担当したことがあり、丁度その頃非正規雇用の導入が始まり試行錯誤していたが、私も少しばかり興味があり若い人で非正規で働きに来ている数名に尋ねると「自由に働けていい」という返事であった。
「そうか」と、うなってしまったが本音かどうかは分からない。

また海外で生産工場を担当した折りには、海外の有能な人材を処遇するには日本の年功序列の古いシステムでは不充分であることも強く実感させられた。

やはり色々な働き方が有ってもいい前提で生産性の向上と賃上げの両立を図り世界の賃金システムと比べても妥当なレベルにしていく必要があるのだろう。

我々消費者も商品の値上げについて妥当な水準であれば許容して、それが賃金上昇や経済成長に結び付き結果として自分の利益に帰ってくるとの共通認識が必要かもしれない。

◎葉っぱの形からするとマーガレットかキバナコスモスの何れかだろうと思うが難しい。
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