「坂の上の雲」⑧騎兵の特質

坂の上の雲」の主人公の一人秋山好古は日本騎兵の生みの親とも云われ、日露戦争ではその騎兵集団を率いて当時世界最強と云われた敵のコサック騎兵と渡り合い負けなかった。

近代に至るまで日本には騎兵という概念がほとんど無く単に馬に乗った武士というものであったが、西洋世界では古代から騎兵集団が出現し、アレキサンダーカエサルハンニバル、ナポレオンなどの名将がこれを効果的に活用することで勝利を手にした。

坂の上の雲」の中で記憶に残る場面のひとつが、秋山好古陸軍大学校の講義で「騎兵の特質とはなにか」と問うた後傍らの窓ガラスを拳固で突き破り自らの手が血だらけになりながら「これだ」と自答する場面が出てくる。

騎兵は地上に肉体を露出しており容易に敵の銃砲火を受け防御力が極めて弱い。しかし密集してここぞという戦機に戦場に投入すると戦局を一変させる打撃力を発揮する。

スペクタクル映画ではこのような騎兵の集団突撃場面をよく目にする。

他のいかなる部隊より機動性に優れこれを利用すれば敵の思わぬ場所と時機に出現して効果的な奇襲を成功させることが出来る。

(司馬遼太郎さんは日本史上このような騎兵の特質を理解運用出来たのは源義経唯一人と述べられている)

秋山好古はこのような思想のもと防御面の弱点を当時機関砲と呼ばれた機関銃を装備することで補いつつ秋山支隊という集団で戦い、満州の山野で日本の勝利に貢献した。

またその工夫の一つが騎兵を後方撹乱に当てるというもので、日露戦争でも挺身隊(ていしんたい)などを組織して敵の奥深くに潜入し通信や交通破壊などで多大な戦果をあげた。

 

【変わる街変わらぬ川に水温む】

 

🔘施設の玄関先のシジミバナ