「三国志入門」

宮城谷昌光著「三国志入門」文春新書 を読み終えた。

宮城谷昌光さんは中国歴史小説の第一人者で1991年の直木賞「夏姫春秋(かきしゅんじゅう)」以来数々のベストセラーをものにしておられる。そのなかには「諸葛亮(しょかつりょう)」「三国志」など中国の三国時代いわゆる魏(ぎ)・蜀(しょく)・呉(ご)三国が争った時代(西暦220年~280年)に題材を採ったものもある。

中国の歴史に題材を採ったものの中で三国志は日本で最も愛されている物語と云っても良いがその対象ほとんどは元の終わり頃から明の始め頃にかけて羅貫中(らかんちゅう)によって書かれた小説の「三国志演義」であり蜀中心で劉備関羽張飛孔明等の活躍が中心になる。

中国には各王朝が交代する度に前王朝の歴史を記すいわゆる「正史」と呼ばれるものがあり三国時代については陳寿が書いた「三国志」がこれに当たり、司馬遷の「史記」に倣い人物中心の紀伝体で書かれている。

宮城谷昌光さんのこの本は正義と悪というパターンに流れがちな「三国志演義」から、事実主体の「三国志」に読者を誘うべく魏・蜀・呉の人物の実際の姿や戦いの真実、また「水魚の交わり」「泣いて馬謖(ばしょく)を斬る」などの三国志の名言名句などを紹介されている。

著者の意図は「あとがき」の冒頭に端的に表されているような気がする。

三国志の世界を知ることは、宝の山に踏み込むようなものかもしれません。」

 

【夜半(よは)の風春一番と叫びおり】

 

🔘施設の園芸サークルの畑、一度刈り取られた後の菜の花。