黒澤明の映画はこう作られた

一体今まで何本の黒沢明監督の映画を観たのだろうか。
多分ほとんどのものを劇場やTV、レンタルビデオなど何らかの形で観た気がしてあまりにたくさんあり過ぎるので、思い出しながら私個人のベスト5を挙げてみる。

隠し砦の三悪人(やはり私のNo1はこの映画)
七人の侍
③天国と地獄
蜘蛛巣城
椿三十郎

だろうか。私の個人的な意見で恐縮だが、後半になって作られた「影武者」「乱」どですかでん」等は前半に撮られた素晴らしく斬新で完成度の高いモノクロの作品群に比べるとあまり面白くなくなったような気もする。

しかしジョージ・ルーカスフランシス・フォード・コッポラスティーヴン・スピルバーグ等の名だたる巨匠が黒沢監督から影響を受けたと云っているように海外からの評価も含めて日本映画の圧倒的な第一人者であることは疑いようがない。

NHKB1スペシャルとして放送された「黒澤映画はこう作られた~証言・秘蔵資料からよみがえる巨匠制作現場~」の再放送を録画して観終えた。私自身は初回も観ており今回で2度目になる。

映画「乱」の制作現場を長期に密着撮影した記録と黒澤映画の関係者の証言で構成されているが、証言者は、
・黒澤映画の有名な記録係 (スクリプター)・野上照代
・撮影・木村大作
・助監督・小泉尭史、山田洋次
・脚本家・橋本忍
・俳優・仲代達矢山崎努、井川比佐志、
・映画評論家・佐藤忠男
等々で現場の実態や当時の思いなどが赤裸々に出てくる。

密着撮影から感じるのは黒澤天皇と言われたように現場全体を圧倒しているカリスマ性、強いリーダーシップの姿だろうか。

多数の色々な役割の人物が黒澤監督に対する証言をされたが、これらを聞いたなかでほぼ全員に共通していたと思えるのが黒澤監督の、セリフ、美術、動作、場面などでの例えば地面の砂の状態一つおろそかにしない「こだわり」の凄まじさである。

良い映画を作るという執念、「こだわり」が有ってこそ結果が伴うものだと、当たり前の事を頭に叩き込まれたような番組であった。
これはきっとあらゆる物事に共通の絶対条件なのだろう。

◎我が家のガレージ脇のバラが寒いなか3本だけ綺麗に咲いている。