「カエサル」

小池和子著「カエサル岩波新書 を読み終えた。
著者は西洋古典学を専門とされているとのことで、あとがきで「既に供給過剰の感があるカエサルという題材を取り上げる意味がどこにあるのか」と自問自答されている。
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この供給過剰という表現にある通りカエサル(紀元前100~44)という人物については
「賽は投げられた」
「来た、見た、勝った」
「ブルータスお前もか」
等の名高い幾つもの言葉が世界に定着している。

英語の7月を表すJuly(ジュライ)の語源は〔ユリウス〕・カエサルから来ているし、ヨーロッパなどでは長く皇帝の称号として使われた。
等々世界の歴史上の人物のなかで最も著名な一人かもしれない。

また映画でも頻繁に取りあげられ、古い映画で恐縮だが私の最も記憶に残っているのはエリザベス・テイラーが主演した「クレオパトラ」だろうか。この時はレックス・ハリソンがジュリアス・シーザー(カエサルの英語読み)を演じた。
この本を読んでみて「クレオパトラ」を振り返ると映画はかなり史実に沿って描かれていることが分かる。

約半世紀前大阪市内の劇場で観た時のパンフレット、エリザベス・テイラーの右がレックス・ハリソン
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本の副題が「内戦の時代を駆け抜けた政治家」となっているように、古代ローマの共和制末期にヨーロッパ地域への征服戦争や国内の勢力争い、内戦を勝ち抜き、ローマが帝国へ至る道を切り開いた軍人、政治家と称せられる。

私がカエサルについてその人物像に深く接することになったのは、塩野七生(しおのななみ)さんの大作「ローマ人の物語」での「ユリウス・カエサル」の章で塩野さんが危機の時代の指導者として高く評価される気持ちが伝わって来た。
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塩野さんの方は云わば「歴史随筆」といった分野に入るものだが、こちらの「カエサル」は歴史研究者が書いたもので当時カエサル自身が書いた「ガリア戦記」「内乱記」や当時の記録をもとに客観的に見た人物像が淡々と描かれる。

何れにせよ西洋社会でその名が定着している理由の一端は見えて来たような気がしている。

◎娘の帰省お土産シリーズその3「彩苺(あやいちご)」
苺のゼリーのなかに小豆のこし餡を包んだ餅が入っている。和洋折衷の3層構造のお菓子。全体に甘さが控えめで大人の味がする。
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