「絵で見る十字軍物語」

60年代から70年代頃にかけて日本中にフォークソングが響き、フォークソンググループが沢山活躍していた。
その一つ「ザ・フォーク・クルセダーズ」があり大ヒットした「帰ってきたヨッパライ」「イムジン河」「悲しくてやりきれない」などの曲に記憶があり、音程は外れっぱなしながら「悲しくてやりきれない」はカラオケで唄ったことがある。

ザ・フォーク・クルセダーズ」とは多分フォークソングの十字軍と言う意味なのだろうか?
フォークソングの聖戦を意気込んでいるような名前になっている。

蔵書の整理で色々な本に再度目が止まってしまい仕事がなかなか進まないが、その中の一冊が「絵で見る十字軍物語」である。
著者である塩野七生さんにはこれに続く大作「十字軍物語1~3」シリーズがあり「絵で見る十字軍物語」はこれらの序曲という位置付けだと著者が語っている。
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この本は19世紀の歴史家フランソワ・ミショーの「十字軍の歴史」に挿し絵として書かれたギュスターヴ・ドレという画家の書いた一連の絵に塩野さんが説明を加え、十字軍の歴史の流れを視覚も含めて理解しやすくしてシリーズの入門書としたもので、非常に中立的な事実優先の記述になっている。

キリスト教イスラム教の対立を見るときイスラム教側の情報が少ないこともありついつい欧米社会、キリスト教側に立って物事を判断し勝ちになる。

十字軍という名前を聞くと何か聖なる戦いのように聞こえてしまうが、決してそうではないことをこの本は繰り返し教えてくれる。

現在まで続くキリスト教世界対イスラム教世界の対立の原点とも云うべき大遠征はどのようにして始まり、どのような犠牲を払い終わったのか、この過程を知ることで現代の混沌として複雑に対立する世界を理解する一端になり得るかもしれない。

何れにせよ物事の判断は、表面的な一方に片寄った情報だけであってはならない事がよく分かる。

◎道端で見た夏みかん
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