土用のことなど・「春夏秋冬 土用で暮らす」

住んでいる施設の食堂で「土用丑の日」のうなぎ料理の予約受付があったり、歳時記で「土用芽」を知ったりして否応なしに土用に関心が向いていた中、バス待ちで立ち寄った図書館で土用という文字に牽かれて冨田貴史、植松良枝著「春夏秋冬 土用で暮らす。五季でめぐる日本の暦」主婦と生活社 刊という本を借りて来た。

この本は旧暦と言われる太陽と月めぐりをもとにした「太陽太陰暦」をもとに、暦の中にあるさまざまな周期を自然の移り変わりとして受けとめ、暮らしのなかでどう生かすか、どんなことに気を付けるべきかなどを平易に説明している。

例えば夏は「熱」の季節と定義し、よく食べてよく動くことで受け取った熱をこもらせず循環させることが伝統的な暮らし方だと説明し、季節の風物詩、料理、夏の植物や果物、暮らしの知恵が、初夏・仲夏・晩夏に分けて紹介される。

この本ではっきり理解したのだが「土用」というのは夏だけでなく、春夏秋冬各季節にあり「それぞれの季節の終わりの時期約18日間」を指す言葉であり、「土の気」が変化するときという考えに由来するものであるらしい。

土は生命が生まれる場所であり、死んだら帰る場所であることから「土用」の働きは過ぎ去る季節を終わらせ来る季節を育成することにその意味がある。

また日本の季節は春夏秋冬と土用を合わせた五季と見る考えもあるらしい。

夏の土用は一年のなかで暑さがピークを迎える「大暑」のころの18日間(7月21日頃~8月7日(立秋の前日)頃迄)でとりわけ健康に留意することとそれに見合う食事や暮らし方の大切さが重要視されているとのことである。

以下余談ながら、

古来旧暦では年月日を表すのに十干(じゅっかん甲乙丙・・・)十二支(えと、じゅうにし子丑寅・・・)の組み合わせ、60通りで表すことがあった。例えば幕末最後の戦い・戊辰戦争のあった慶応4年(1868)は「戊(十干)辰(十二支)の年」といった具合である。

また年・歳の十干十二支は60年で一巡りするため還暦という言葉が生じた。

うなぎを食べる「土用丑の日」は夏の土用18日間の十二支で表す丑の日なので、一回だけの年と二回回って来る年がある。今年は一回だけの7月30日らしい。

🔘一日一句

 

鰻の日マリアナ生まれ川育ち

 

🔘介護棟の庭、マリーゴールドと思われる。