「まあまあふうふう」

少し古いが2019年7月9日のこのブログで、行きつけのコメダ珈琲店で読んだ週刊誌に、女優の八千草薫さんが書かれたというフォトエッセイ「まあまあふうふう」の紹介記事が載っていることをきっかけに、この言葉から上海駐在時代の想い出などを書かせてもらった。

先日用事もあり垂水の図書館に寄ったところ、その「まあまあふうふう」主婦と生活社刊 の本に、紹介記事から3年過ぎて偶然出会いこれも何かの縁だろうと直ぐに借りてきた。

第一章の中にある『「ま、いいか」でいいかげんに』のエッセイで、ご主人から「中国には”いい加減“という意味の馬馬虎虎(マアマアフウフウ)という言葉があるけれどそういう気持ちでいたらどうだろう」といわれそのように生きるようになったと書かれている。

私が上海で初めて中国人から「馬馬虎虎」を聞いたことは2019年に同じブログの箇所で書いた。

ところでこの言葉は画家が馬でもなく虎でもないい加減な絵を描いたことに由来する成語である。

この本は2019年7月に出版されており、あとがきも同年の「新緑の季節に」と記されている。

八千草さんがすい臓がんで亡くなられたのが2019年の10月であり、いわばこの本はその心を表現する遺作であったに違いない。

本の中にある山での暮らしで親しい人に手紙を書く写真

そう思うと何ヵ所かにその思いを汲み取れるような文章が残されている。

『若い頃、台詞を簡単に覚えられたのは、実はあんまりよく考えていなかった証拠だったなと、今になって思うのです。そういう意味では、歳とるのも悪いことばかりではありません。ものごとを、じっくり、深く、考えられるようになっていくのですから。』

『服はただ着飾って見せるためのものだけでなくて、その人自身、私自身を表すものですから。だからこそ、自分の好きなものーいいなと思うものを大事に着たいのです。』

『まずは「今、目の前にあること」を大事にすること。ごまかしてそのまま先に進んでも、やっぱりどこかで上手くいかなくなるんですね。自分がちゃんと納得できているかどうか。納得してから先へ進んでいるかどうか』

🔘演技と同じように誠実な人柄が随所に滲み出ている文章になっている。

🔘この地に越してきて5ヶ月、緑を目にするのはいつも歩く隣接の健康公園周辺と施設の庭園等である。

田んぼの畦道などに多い彼岸花は御目にかからないだろうと諦めていたら、昨日突然咲いているのを見つけた。諦めていた矢先、公園の草むらでわずかな数を去年と変わらず見つけることが出来てとても嬉しい。

 

【家(や)移りも    去年(こぞ)と変わらぬ     彼岸花

 

曼珠沙華  「千年の古都」 歌おうか】