中断中の独り言・「俳句世がたり」と「新茶汲む」

住んでいる施設に入居して一年半近く、俳句サークルに入って一年余りとなり初めて出逢う俳句に苦吟している。

サークルの先輩居住者の方から俳句の魅力再発見とキャッチコピーの付いた、小沢信男著「俳句世がたり」岩波新書刊と、配偶者の方が詠まれた手作り句集「新茶汲む」を貸していただいた。

「俳句世がたり」の方はみすず書房の月刊誌「みすず」に連載された、芭蕉このかた数多くの先達の俳句・川柳などを引き出し役やまとめ役として、季節の移ろい、世間の出来事などに目をこらし73の短文にまとめたもので、それぞれの句を味わうための着眼点が随所に盛られている。

私が気になったのは次の三句

・「濹東綺譚」など柔らかい作品などに定評のある作家・永井荷風文化勲章をもらって詠んだ句、ちなみに私のブログの題「厚狭吉亭日乗」は荷風の日記「断腸亭日乗」の一部を借用したもの。

 

かたいものこれから書きます年の暮れ

 

・俳優の渥美清さんが「風天」の俳号で詠んだ句、遍路は春で虹は夏の季語らしいが気にしない。一列に巡礼道を歩く姿が浮かんでくる。

 

お遍路が一列に行く虹のなか

 

小林一茶が江戸から信濃の故郷に帰って詠んだ句、私も仰向けになった黄金虫を詠んだことがある。

 

仰のけに落て鳴けり秋のセミ

 

「新茶汲む」は同じ施設に入居されて始められた俳句の約5年間の集成とのことであり、そのレベルの高さに感心した。

見入ったのは私の郷里の近く下関に関連した句、下関は河豚の本場で「ふく」と言い海峡が見渡せる地に河豚料理の店がある。

下関は馬関とも言った。私の故郷・厚狭を給領地にしていた厚狭毛利家当主は当時、「馬関海防総奉行」を務め海峡を通る外国船砲撃の指揮をとった。

 

馬関の灯近くにしたる河豚料理

 

🔘私の俳句の先はまだまだ長い道のりらしい、今日の一句。

 

甘薯掘りぐさりそろりと鍬を入れ

 

🔘施設の庭、サルビアの仲間・アメジストセージと思われる。