山陽町史⑧松嶽山正法寺と元寇(げんこう)

8月8日のこのブログ山陽町史⑥に書いたように、厚狭の象徴のひとつ松嶽山・正法寺(中世の頃は松嶽寺とも呼ばれた)は源平壇ノ浦合戦の際、軍兵に襲われ全山焼失して寺伝、寺領等が皆無となった。 戦火より38年後、貞応2年(1223)正法寺の僧・大賢は再…

映像の世紀バタフライエフェクト「砂漠の英雄と百年の悲劇」

NHKで再放送されたドキュメンタリー番組・映像の世紀バタフライエフェクト「砂漠の英雄と百年の悲劇」を録画して観終えた。 再放送は現在のパレスチナ、ガザの戦争状態を踏まえ、その根源の一部を解き明かした内容が時宜を得たものだと思われたのだろう。 バ…

『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」』

何か題名からしてどうかな?と思うような本だが『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」』(株)KADOKAWA刊を読み終えた。 といってもとても内容を体系的に理解したとは言えず、部分的にその箇所、その意味がようやく少し理解出…

『「昭和天皇実録」を読む』

原 武史著『「昭和天皇実録」を読む』岩波新書 を読み終えた。 著者は元日本経済新聞の社会部記者で昭和天皇の最晩年を取材、後に日本政治思想史の専門家となる。 昭和天皇実録は云うまでもなく宮内庁が編纂した昭和天皇の伝記で、2014年に24年の歳月…

私の代表的日本人・柴 五郎

月刊誌・文藝春秋には今年8月号から作家で数学者でもある藤原正彦氏が「私の代表的日本人」を連載されている。 第一回が江戸時代の数学者・関孝和、第二回が江戸時代の米沢藩主・上杉鷹山、そして今回10月号が第三回の柴五郎である。 会津人・柴五郎はあ…

映画「こんにちは母さん」

10月18日のこのブログで、NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀・ふたりのキネマ~山田洋次と吉永小百合」を見ての感想を書いたが、そのドキュメンタリーの舞台になっていたのが「こんにちは母さん」という映画の撮影現場であった。 そういえば最近…

「関ヶ原研究会」

先日の産経新聞に、関ヶ原合戦の地元・岐阜県関ケ原町で新たに「関ヶ原研究会」が設立され、会長に中世史特に戦国時代が専門でTVの歴史番組の常連のひとり小和田哲男氏が就いて、新たな研究の進展を若手に促すということが掲載されていた。 関ヶ原合戦につい…

プロフェッショナル仕事の流儀・ふたりのキネマ~山田洋次と吉永小百合~

NHKのドキュメンタリー番組に「プロフェッショナル仕事の流儀」があり超一流のプロフェッショナルに密着し、その仕事を徹底的に掘り下げる番組で今回は映画人・山田洋次監督と俳優・吉永小百合さんであり多分面白いだろうと録画して観終えた。 二人の初めて…

厚狭毛利家の開作②梶浦開作(古開作と沖開作)

昨日10月15日の続き 厚狭川河口西側部分の開作・干拓事業はすでに寛延2年(1749)厚狭毛利家五代・元連、安永年間(1770年代)七代・就宣の時代に藩府に許可を願い許されていた。 しかし実際に着手に至ったのは天保6年(1835)九代・元美の時代…

厚狭毛利家の開作(かいさく)①開作あれこれ

先日私の故郷・山口県厚狭在住の中学同級生から、稲を昔ながらの天日干し(はさかけ)する田んぼの写真がグループLINEに送られてきた。 場所を確認すると江戸時代に干拓で出来た土地(古開作)であり、そういう土地で稲作が連綿と続けられていることに感慨を覚え…

司馬遼太郎さんの随筆⑥国民国家

江戸時代は身分社会でいわゆる士農工商の差が歴然としていたとされる。一般的に庶民といわれる農工商に属する人々は、年貢を始めとする税を搾り取られ窮屈な世渡りを強いられていると否定的に捉える見方が一般的である。 一方この事を肯定的に見て、それ以前…

「AIは人類を駆逐するのか?/自律世界の到来」

太田裕朗著「AIは人類を駆逐するのか?/自律世界の到来」幻冬舎 刊を読み終えた。 著者はこの本が刊行された2020年6月当時は研究者を経てドローン関連スタートアップ企業の代表で、現在は退職してノーベル賞授賞者・中村修二氏と、レーザー核融合炉の商…

塩野七生・「能力」と「素行」

イタリア在住の作家・塩野七生さんは月刊誌・文藝春秋に毎号「日本人へ」と題したエッセイを連載されている。 内容は海外からみた場合の日本人に警鐘を鳴らすものが多いが、大部の「ローマ人の物語」「ギリシャ人の物語」「十字軍物語」などを書かれた作家ら…

「そしていま一人になった」

女優の吉行和子さんが書いたエッセイ集「そしていま一人になった」集英社刊を読み終えた。たまたま図書館で高齢者向けに面白そうな題名と、名前を知っている著者に牽かれて借り出したものである。 題名は、何れも有名人である家族三人に先立たれたことを表し…

生誕100年 司馬遼太郎 雑談「昭和」への道

今年は作家・司馬遼太郎さんの生誕100年に当たると云うことで記念の出版や行事が実行されている。 NHKでは昭和61年に放送された雑談「昭和」への道と題したシリーズを記念番組として再放送されている。私は今まで観た記憶が無いのでこの際と思い第一回…

「鎌倉幕府の滅亡」

細川重男著「鎌倉幕府の滅亡」吉川弘文館 刊を読み終えた。 著者は鎌倉時代を専門領域とする歴史家らしく、本のあとがきに、「卒論・修士論文・博士論文を含め、これまで発表してきたすべての研究論文・研究書は、本書を書くための基礎作業であったといって…

「山陽町史」⑦箱田氏と惣社(そうしゃ)八幡宮

現在厚狭の郡(こおり)地区にある惣社八幡宮は加藤地区にある鴨神社とならんで地域のなかで最も古く由緒のある神社である。 2020年に撮った参道から神社を見上げた写真、時間がなく社殿に行けず。 社伝によれば、箱田小太郎広貞が末益村に社を建て文治3…

10月句会

昨日は住んでる施設の俳句サークルの10月句会が行われた。 といっても全く会があることを忘れ、時間になって電話連絡を受け慌てて最近ブログに載せてたものから無作為に5句選んで短冊を作って10分遅刻で駆けつけた。 前回事情で欠席したこともあり、今…

「ChatGPT」を使ってみた

最近話題になっている生成AIについて興味があり、この際と思い一番先行していると云われるアメリカのOpenAI社が開発した「ChatGPT」を試しに使ってみようとチャレンジしてみた。 先ず初めての登録段階で失敗、電話番号とメールアドレスで身元確認が行われる…

俳句サークルの月見会

昨日は仲秋の名月で施設の俳句サークルでは月見会が行われた。 その場で俳句を詠むのではなく月を愛でながら懇親を深める意図で少しのアルコール類と持ち寄って頂いた団子を含むおつまみで約一時間楽しく過ごさせて頂いた。 会がスタートしてしばらくして月…

司馬遼太郎さんの随筆⑤・統帥権(とうすいけん)

昭和史家や昭和史に造詣の深い作家、評論家が日中戦争や太平洋戦争を論じる場合善かれ悪しかれ必ずその対象の一端が統帥権に当てられる。 統帥権とは軍隊を動かす権限のことで、明治憲法下でプロシア(ドイツ)憲法に倣って規定された条項では、この軍隊を動か…

「村・百姓たちの近世」

長く中断していましたがぼちぼちと復帰しようと思います。今までと違い2~3日に一回のペースで無理せず気長に行きたいと思いますのでどうぞ宜しくお願いします。 水本邦彦著「村・百姓たちの近世」岩波新書 刊を読み終えた。 著者は日本近世史の専門家で村社…

中断中の独り言・「放談会」

住んでいる施設で色々な話題について意見を交換し合う「放談会」と名の付いた会が出来、私も参加させてもらうことになった。 会のひとりが月一回テーマを決めてその内容を発表した後に意見を述べ合うことでスタートした。 今まで「移民受け入れ社会へむけて…

中断中の独り言・土佐人のことなど

現在終盤を迎えているNHK朝ドラ「らんまん」は土佐生まれの植物学者・牧野富太郎をモデルにしたものだが、演じているのが現代の若者の代表格とも云える神木隆之介さんなので、高知県の若者には申し訳ないが、どうも私の持つ土佐人のイメージからは程遠い気が…

中断中の独り言・「俳句世がたり」と「新茶汲む」

住んでいる施設に入居して一年半近く、俳句サークルに入って一年余りとなり初めて出逢う俳句に苦吟している。 サークルの先輩居住者の方から俳句の魅力再発見とキャッチコピーの付いた、小沢信男著「俳句世がたり」岩波新書刊と、配偶者の方が詠まれた手作り…

中断中の独り言・芥川賞受賞作「ハンチバック」

文藝春秋9月号に以前芥川賞を受賞したとニュースなどで話題になっていた、市川沙央(いちかわさおう)さんの「ハンチバック」が掲載されており読み終えた。 若い頃から何度も「純文学」というカテゴリーに入る小説にチャレンジしてきたが、幾つかの例外を除き…

中断中の独り言・俳句⑥

今日の三句 ・今日9月19日は正岡子規の忌日・獺祭忌らしい。子規は自分が病臥する家を獺祭書屋(だっさいしょおく)、俳号を獺祭書屋主人と一時期称したことに由来する。 獺(かわうそ)は捕った魚をまるで祭りのように並べるところから、詩文を詠んだり作る…

中断中の独り言・木槿(ムクゲ)と芙蓉(フヨウ)

施設の庭に木槿と芙蓉が咲き始めている。木槿は人目につきにくいところに一ヶ所、芙蓉は何ヶ所かに別れて育っている。 非常によく似た花で最初は全部同じ種だと思っていたが段々見分け方が分かってきた。 花でも雌しべの形で見分けがつくらしくツンと一直線…

中断中の独り言・「らんまん」の神社合祀

NHKの朝ドラ「らんまん」はいよいよラストスパートにかかって来ているなか、主人公の万太郎が、和歌山県在住の著名な民俗学者・南方熊楠(みなかたくまぐす)の影響や、神社の森の植物へのダメージなどを考え、明治政府の神社合祀政策に反対しようとするストー…

中断中の独り言・映画「ダンディー少佐」

中断中に録画したままになっているTV番組を消化しようと努めているがその中で、NHKBSプレミアムで放送された1965年のアメリカ映画「ダンディー少佐」を観終わった。 「ダンディー少佐」は私にとって忘れ難い映画のひとつで高校生の時に初めて観た。製作…