映画「こんにちは母さん」

10月18日のこのブログで、NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀・ふたりのキネマ~山田洋次吉永小百合」を見ての感想を書いたが、そのドキュメンタリーの舞台になっていたのが「こんにちは母さん」という映画の撮影現場であった。

そういえば最近劇場で映画を観ることが無くなったなあと思いつつ、この映画を上映している近くの劇場を探すと明石市JR大久保駅前がヒットし、おまけに昨日が最終日とのことで、これは行っておかねばと思い二人で出掛けてきた。

ネタバレにならない程度の最小限のストーリーを記すと、下町で夫亡きあと足袋屋を守る母親(吉永小百合さん)はボランティア活動が生き甲斐になっており、そのなかで同じ活動をする牧師さんに恋心を抱くなど前向きに生きている。

そこへ仕事の屈託や離婚問題などを抱えた息子(大泉洋さん)や、自らの進路や両親の離婚に揺れるその娘(母親からみると孫娘・永野芽郁さん)が訪れ、それぞれが失うものを経て、そこから再生への足掛かりを見つけていく人情劇が描かれる。

映画に出てくる吉永さんの例えば上履きをミシンで縫うシーンなど、ドキュメンタリーの方であらかじめその事前のひたむきな努力を見ているせいか、色々なシーンの裏にある監督のダメだしと、それに必死に応えようとする俳優の繰り返しの演技がダブって見えてしまう。

それにしても吉永さんの年齢を感じさせない佇まいはどこから来るのか、恋をする演技が自然に受け止められることと併せ不思議なほどだが、やはりこれは人知れず積み重ねられた努力の蓄積に依るものだろうと妙に納得させられるものがある。

自分の誇りを全うしようとする老ホームレスを演じている舞踊家田中泯さんの演技が渋い。(山田監督の「たそがれ清兵衛」での田中泯さんが演じた老剣客役は今でも記憶に残っている)

監督やスタッフの、中高年を元気に応援しようとする意図を受け止めることが出来た気がする。

🔘今日の一句

 

野路の秋石押しわけて花二輪

 

🔘近くの施設の駐車場脇のシオン