映画「おとうと」

NHKBSプレミアムで放送された山田洋次監督の映画「おとうと」を長い間録画したままにしていたがようやく観ることが出来た。

女手一つで一人娘を結婚するまで育て上げたのが吉永小百合さん演じる小さな薬局を営む姉、一人娘が蒼井優さん、酒で失敗を重ねる出来の悪い「おとうと」が笑福亭鶴瓶さんで一人娘の名付け親でもある。

山田洋次監督は家族の色々な形を繰り返し映画化してきたがそれぞれに「よろこび」「かなしみ」「将来の希望」のようなものが有った気がするがこの姉と「おとうと」とそれをとりまく人々の哀歓をどう表現したら良いのだろう。

真面目な生活者と世間からみた落ちこぼれとの面白い関係は「男はつらいよ」でさんざん見てきた気がするがこの場合はもっと深刻で、娘の結婚式をぶち壊す~この事も一因で娘は離婚、多額の借金を姉が肩代わりさせられる等々、見ているこちらの方が疲れてくる。

この破天荒な「おとうと」が地のように見えてくるのは鶴瓶さんにその素地があるのか、はたまた演技が素晴らしいのか?

「おとうと」が大阪で病気で行き倒れになっているとの連絡が東京の姉のもとにあり、預けられているホスピスを訪ねての姉、「おとうと」の和解のやり取りや死に瀕しての対話する場面、
娘の再婚が決まり大工の相手と臨終に立会おうと雨のなか車で大阪に向かう場面、

前半がひどかっただけにこれらの後半は救われたような気持ちにさせられ、今更ながら血縁というものを考えさせられた気がしている。

「おとうと」が名付けた姉の一人娘の名前が「小春」、
村田英雄さんが唄った「王将」のモデルで将棋名人・坂田三吉の妻の名前からとった事になっているが、チョッとレトロで大阪に住む鶴瓶さん・「おとうと」が名付けた事にピッタリはまっていて妙に感心する。

◎盆栽の梅もぼちぼち春が近いことを告げている。