今年は作家・司馬遼太郎さんの生誕100年に当たると云うことで記念の出版や行事が実行されている。
NHKでは昭和61年に放送された雑談「昭和」への道と題したシリーズを記念番組として再放送されている。私は今まで観た記憶が無いのでこの際と思い第一回目から録画して順次丁寧に観ている。
この内第三回に当たる「帝国主義とソロバン勘定」は日本が日露戦争終結後太平洋戦争に至る道、特に大陸への進出を経済的な面から見て不合理であり、戦略として成り立って無いことを痛烈に批判していて感じるところがある。
その論旨は
・日露戦争は祖国防衛戦争であったといえるがその後に変質が始まる。
・日露戦争は痛み分けがせいぜいで戦う余力が尽きていた、にもかかわらず国民にはその事が知らされず、賠償金をとれないことなどの不満から日比谷公園暴動が起きる。
・指導者は自国の実態が分かっていながら群衆の方へ合わせていき日本の近代を誤らせた。もし勇気あるジャーナリズムがこの時あれば認識は変わっていた。
・ロシアに対する過剰な防衛本能から大陸に進出し帝国主義が始まるが、元々帝国主義は産業革命で生じた物資を販売するためのもので、当時の日本には雑貨のようなもの以外に売るべき産業がない。
・アジアの柔らかい部分に目を付け進出したが、儲けの目算など無い、誰もそんな計算をせずアジアの人々の深い恨みを買ってしまっている。朝鮮併合、シベリア出兵、満州国建国、日中戦争etc
・将軍のことをジェネラル、全体の統括者と言う意味になるが過去日本の将軍では戦術はあっても戦略的思考はなかったのではないか。石炭から石油への転換時期に於ける対応の遅さを見ても明らかである。
・正直な政府であったなら日本の近代は違ったものになっていたはず。秘密主義ではなく国民に手の内実態をさらすことが重要である。
🔘経済的な面・ソロバン勘定から見ても日本の大陸進出は誤っていた、また国民に対し正直な政府であらねばならないとの説明は今聞いていても新鮮で説得力がある。
🔘今日の一句、朝歩く健康公園にはいつも詩吟をされる老夫婦の姿がある。
歩む背に詩吟追い来て朝の秋
🔘健康公園のドングリ(団栗)、子供の頃は気にも留めなかったが同じドングリでも色々な形のものがあることが良く分かる。