2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

司馬遼太郎さんの随筆②大名家の非情

司馬遼太郎さんの随筆に昭和41年の毎日新聞に掲載されたとされる「法斎(ほうさい)の話」というのがある。 阿波国(あわのくに・徳島県)蜂須賀家は25万7千石の国主だが、関ヶ原当時当主・家政は西軍に属したが、敢えて嫡子・至鎮(よししげ)は東軍に属し終…

「昭和史をさぐる」

伊藤隆著「昭和史をさぐる」吉川弘文館刊を読み終えた。 著者は日本近現代政治史が専門の歴史学者である。この本は昭和初期の政党政治の時代から、満州事変、五・一五事件、二・二六事件、日中戦争を経て日米開戦、敗戦という昭和の道程を色々な史料に基づい…

映画「アレキサンダー大王」

NHKBSプレミアムシネマで放送された1956年のアメリカ映画「アレキサンダー大王・原題:Alexander The Great」を長い間録画していたがようやく観終えた。 アレキサンダーを演じるのはリチャード・バートンで私にとっては映画「クレオパトラ」でエリザベス…

なぜ薩・長・土・肥なのか/革新活動の必要条件

ふるさとが山口県の厚狭であるところから、つい長州藩や厚狭毛利家などに興味を持ちこのブログにも書いてきたが、やはり長州といえば明治維新を成し遂げる重要な役割を担ったことが第一に語られる歴史がある。 その明治維新に寄与した雄藩として教科書などで…

「会えてよかった」

安野光雅(あんのみつまさ)著「会えてよかった」朝日新聞出版 刊を読み終えた。 著者の安野さんは独特な一度見たら忘れない画風で「ふしぎなえ」など多数の絵本などを発表、私も娘や孫が幼い頃買い与えた記憶があり、自ら装幀されたこの本の表紙の絵も面白い…

二つのインド

日経新聞に「風見鶏」というコラムがあり先日「二つのインドと日本」という記事が掲載され、またこのたび天皇皇后両陛下がインドネシアを訪問され歓迎を受けられたニュースをみてこれを書くことにした。 二つのインドとは地域の大国であるインド(人口14.…

山陽町史⑤厚狭の庄(荘)園

今まで書いて来たように「大化の改新」以来、国は「班田収授の法」などを通じ公地公民化を進めたが、6年ごとに土地は収公され戸籍により農地が再分配されるために期限が近づくと農地が荒廃したり、人口の増加に対して公田が不足するような事態に直面した。 …

寺島実郎さんと悪人正機説(あくにんしょうきせつ)

寺島実郎さんと言えば日本総合研究所というシンクタンクの会長で大学教授を始め各種の公職を歴任されている政治、経済、国際関係にまたがる論客である。 私は日曜朝の報道番組「サンデーモーニング」は必ず録画して夜に観ることを習慣にしているが、そこに不…

「ミッドウェー海戦 3418人の命を悼む」

ミッドウェー海戦は今から80年以上前の昭和17年(1942)6月、太平洋戦争中の日本海軍とアメリカ合衆国太平洋艦隊の主力機動部隊(空母艦隊)が、アメリカ本土と日本との太平洋中間地点にあるミッドウェー島を巡って激突した戦いである。 1941年12…

「源義経の合戦と戦略・その伝説と実像」

菱沼一憲著「源義経の合戦と戦略・その伝説と実像」角川選書を読み終えた。 この本は今から約840年前に活躍した日本史上のヒーロー・源義経について史料や物語を丹念に追究し軍事面と政治面双方から伝説を廃して実像により近付こうとする試みでありその成…

司馬遼太郎さんの随筆①毛利の秘密儀式

司馬遼太郎さんが書かれた随筆を読み返していくと懐かしく面白いものに色々と突き当たるがこれもそのひとつである。 「毛利の秘密儀式」と題したそれは昭和39年の読売新聞に掲載されたもので、毛利家が関ヶ原の戦いで戦わずして負け中国地方の太守から周防…

父の日の贈り物

昨日は父の日で娘からの荷物が届いた。 いくつになっても素直に嬉しく早速開いてみた。 毎年恒例のようになって重宝している外出用の半袖シャツと、今年は加えて外出用のスマホショルダーが入れてあった。 l 先日娘を交え淡路島に行った際、娘が肩に掛けてお…

ヤマモモの話

一年前に神戸の西・垂水に越してきて周辺を歩き、色々なところでヤマモモ(山桃・楊梅)の樹を見かけ大半が鳥の餌や無駄に熟して落ちているのを見てもったいないと思い、来年は必ず手の届く樹を見つけ採って食べてみようと思っていた。 今年春、健康公園の歩径…

「夏井いつきの日々是「肯」日(ひびこれこうじつ)」

民放のプレバトやNHK俳句でその辛口のキャラクターが人気の俳人・夏井いつきさんの「日々是「肯」日」を読み終えた。 この本は春・夏・秋・冬・新年の歳時記に合わせた五季ごとに、俳句、文章、写真で綴られた作品で、そのまえがきのなかで作者は、 『そんな…

「今井翼 タイ縦断鉄道の旅」

BS日テレで「今井翼タイ縦断鉄道の旅」という番組が放送されている。といってもたまたま番組表で懐かしい「タイ」という文字に牽かれて録画したのだが、俳優の今井翼さん(正直いって私は今まで全く知らなかった)がタイ北部チェンマイから南部マレー半島のサ…

「上皇の日本史」②ふるさとの領主・熊谷氏の所領争い

6月11日の続き、 日本特有の制度であった天皇を退位した上皇が行う「院政」のあれこれを解き起こす「上皇の日本史」では、史料を読み解いてその政治の内容や判断が比較的お粗末なもので上皇の政治の限界が見えていることを指摘している。 このことを裏付…

「バラカンが見た村上海賊」

NHKBS1で放送された「バラカンが見た村上海賊」を長い間録画したままにしていたのをようやく再生観終わった。 番組表で見た際は「バラカン」のことが全く意味が分からず「村上海賊」に牽かれて録画しておいたが、バラカンとはロンドン生まれのピーター・バラ…

山陽町史④厚狭ののろし台

現代のような通信手段が無い古い時代は、煙の上げかたやその色によって通信連絡することは世界各地の共通手段であった。 例えば中国・山東半島に煙台(えんだい・烟台)という地名があるが、この起こりは倭寇(わこう・大陸沿岸を荒らした海賊集団)襲撃の際に警…

「上皇の日本史」①地位が先か、人が先か

本郷和人著「上皇の日本史」中公新書ラクレ刊 を読み進めている。 この本の「まえがき」の一部、「地位が先か、人が先か」という章で上皇という日本にしかない地位に関連して、日本特有の地位と人との関わりを論じているのが目から鱗で、ここに書いておくこ…

新選組と長州

このブログを中断していた間、色々な本を読んでいたが、司馬遼太郎さんの新選組小説「燃えよ剣」「新選組血風録」もこの間に読み返した。 幕末を駆け抜けた剣客集団・新選組の行動を振り返って見ると今さらながらではあるが、私のふるさと長州との戦いの歴史…

6月句会

施設の俳句サークルの6月例会が開かれたが、私は都合で出席出来ず幹事さんの手をわずらわせ出句のみとさせてもらった。 私の出した五句はブログに書いたものに手を加え以下の通り。 ①カラオケに来し方託し夏に入る ②幼子をリュックに入れて夏の山 ③ビル街の…

「世界遺産いただきます 大運河と美食の旅」

★約10日間中断していましたが今日から再開したいと思います。毎日の更新には拘らずボチボチと書いていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。 ーーーーーー◇ーーーーーー NHKBSプレミアムで放送された「世界遺産いただきます 大運河と美食の旅」を…