中国・少数民族の一断面

古来中国では自らを世界の中心・中華と考える思想から辺境にある民族や国を、東夷(とうい)、西戎(せいじゅう)、南蛮(なんばん)、北狄(ほくてき)と呼んでいた。
それぞれの字には文明や文化から遠いとの意味が込められている。

日本や朝鮮半島はさしずめ東夷に当たるのだろう。

数千年に渡る歴史や戦いのなかで中核となる漢民族が形成され、その他の民族は主として外縁部や辺境に居住、周辺諸国と共に先の東西南北の呼び方の対象になり、現在では少数民族と呼ばれている。

NHKBSプレミアムに「中国秘境・謎の民」というシリーズ番組があり現在まで秘境に住む少数民族8族が紹介されている。
中国に隣接するタジキスタンに住むヤグノブ人を除き、チベット内モンゴル四川省雲南省に住む人々である。

録画してこの8回を全て観たがそのの共通点としては以下3点が有るように思われた。

・独自の神や言い伝えを持ちそれらを崇め守ってきたが、ここにきて現代の文明とのせめぎあいに直面している。
・しかし民族としての「誇り」は強く持ち続けている。
・多くの場合戦いの歴史があり逃げ延びて生きるために辺境を選んだ経緯を持つ。

現在中国の人口は約14億1千万人、漢族が91%を占め55の少数民族が残り約9%となる。

かつて私が上海に駐在した際、新規に人を採用する面接をしたことがあるが、中国人の身分証明書には民族名が記載され、企業は一定の割合で少数民族の採用を義務付けされており民族名が生活のなかに自然に入り込んでいる。

中国奥地西南部の貴州省四川省雲南省辺りは人口の多いイ族ミャオ族を始め少数民族の多い地域で古来西南夷との呼称もある。
作家・司馬遼太郎さんの膨大な著作「街道をゆく」シリーズの第20巻「中国・蜀と雲南のみち」では、これら少数民族の人々の話で溢れている。
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ちなみにこの中でイ族のイは夷から来ていると書かれている。
ミャオ族は東南アジアにも広く居住されているがモン族とも云われる。以前タイに駐在していた頃、休暇で北のチェンマイを観光した際にその村を訪ねた事がある。
ミャオ族は苗族と書くのだがなぜ苗の字を当てるのかわからないが、もともと稲作民族であり稲の苗から来ているのではと勝手に想像している。

◎秋の象徴のような植物だが、図鑑で見ると、ススキのようでもあり、オギのようでもあり見分けがつかない。
川沿いに群生している。
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