マレーシア・プミプトラ政策

マレーシアはマレー半島とボルネオ北部を領土としている人口3200万人の国でASEAN東南アジア諸国連合)の一員である。

日経新聞のGLOBAL EYE という紙面にマレーシアのシンクタンクIDEASの イムラン・シャムスナハルという方が「マレーシア、衰退招く縁故主義」という題で自国の「プミプトラ政策」を否定する意見を寄稿されている。

「プミプトラ」とは「土地の子」すなわちマレー系住民を意味し1969年に起きた人口の70%を占めるマレー系住民と20%を超えて経済を動かす華人系の衝突をきっかけに1971年に導入され教育、住宅支援等マレー系が広く優遇される政策になっている。

私が現役時代、何度かマレーシアに出張した際にもこの政策は話題になっていた。
周辺の東南アジア各国も多かれ少なかれ経済を握る華人系と地元にルーツを持つ人達との軋轢(あつれき)はありアジア通貨危機の折りには暴動にまで発展したケースも有った。然しこのプミプトラのような民族優遇政策はあまり聞いた事がない。

マレーシアでは1980年頃に当時のマハテイール首相が、日本や韓国の国民性に習って経済を成長させようと唱えた「ルックイースト」構想をベースに順調な成果をあげたが、ここしばらく明らかに他のASEAN諸国とは見劣りする。

記事ではこのプミプトラ政策の下で、例えば政府の支援が必要な貧困層に届かず、マレー系のエリート層が政府の支援で暮らすようないびつな構造になり生産性の向上が阻害されていると指摘している。
またこの現状を変えようとすると重要な票田であるマレー系の反発が予測され、政府も現状を打破しようとしないと嘆く。

民族や宗教によって政策の恩典、支援が異なるようなことは無理があり、軋轢を生じることは歴史を見ると色々な例がある。
やはり現実に必要なところをみて政策を機能させるべきであろう。

現役時代私が訪れたこともある懐かしい首都クアラルンプール近郊の工場も自由貿易の中で輸入の方が有利になって閉鎖されてしまった。
マレーシアは国内市場の規模が限られており特に東南アジアの自由貿易の枠組AFTAが機能している現在、各々の国の優劣がよりハッキリ現れてくる可能性が高い。
巻き返しを期待している。

全くの余談ながら子供の頃夢中になったTV活劇「快傑ハリマオ」はもともとこの国のマレー半島が舞台である。

◎歩きの途中、少し離れて数ヶ所で咲く紫の花
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