谷口匡(たにぐちただし)著「読み継がれる史記~司馬遷の伝記文学」塙書房刊 を読み終えた。
史記は中国歴代王朝などの正史・二十四史の最初に位置付けられ歴史のみでなく文学的な価値も広く知られており、前漢の武帝の時代(紀元前141年~87年)司馬遷(しばせん)によって書かれた。
史記は人物を中心にして歴史を記述するいわゆる紀伝体(きでんたい)で書かれており事柄を中心とする編年体(へんねんたい)と対比される。
司馬遷は漢で「太史公(たいしこう)」と呼ばれた史官の父親・司馬談の遺志を継いで同職として人物中心の歴史を書き始め途中「李陵の禍(りりょうのか)」といわれる武帝の怒りに触れ、宮刑(きゅうけい)の屈辱に堪えながら130巻の大部を完成させた。
余談だが作家・司馬遼太郎さんは司馬遷に遼(はるか)に及ばずとして自らのペンネームとした。
この本はこの史記への入門書としてまとめられたもので以下の章に別れている。
Ⅰ伝記文学「史記」へのいざない
Ⅱ「史記」と中国文学
Ⅲ「史記」と日本文学
Ⅳ「史記」のことば
Ⅴ「史記」を追いかけた日本人
これらの個々に触れるには字数が足りないが、ここでは、Ⅳ章のなかから史記に記されたことばで2000年以上の時を経て現代まで伝わる何点かを書いておきたい。
・桃李言わざれども下自ずから蹊(こみち)を成す
・日暮れて途(みち)遠し
・禍いを転じて福となす
・四面楚歌
・背水の陣
等々
【冬晴れに海も心も凪模様】
🔘近くの花壇にひっそりと、画像検索ではニワナズナと思われる。