「朝鮮王朝実録」と韓流歴史ドラマ

朴 永圭 著 神田聡 訳 「朝鮮王朝実録」新潮社刊のことに触れた新聞記事を見て図書館に予約、わざわざ他の図書館から融通して貰ったのを借り出し読み終えた。
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先日日本で昭和天皇個人の事跡やその時代を纏めた「昭和天皇実録」が刊行され話題を集めたが、中国、朝鮮、日本等では各々の王朝が終わった後や、皇帝や王が死去すると「正史」と言われるその時代の歴史書が編纂される。

そのルーツは中国・漢の時代に司馬遷が書いた「史記」にあるとされる。

高麗(こうらい)滅亡後 李成柱(りせいけい、イ・ソンゲ)によって1392年に建国された「李氏朝鮮(りしちょうせん)」は1910年に27代続いた歴史に幕を下ろした。

この27代にわたる各々の王の治世の歴史は「実録」として編纂されたが、この本は著者が大部の各「実録」を検証し直し一冊の分量に纏めたものである。

今は熱が冷めているが一時期韓国のTV歴史ドラマをよく見ていた。
新羅(しらぎ)、高句麗(こうくり)、百済(くだら)の3国時代から高麗、李氏朝鮮まで色々見たが、この本を読みながら李氏朝鮮時代のドラマに登場した各時代の朝鮮王が、ドラマに出てきた名前の知らない俳優の顔になって頭に度々浮かんできた。

・龍の涙ーーー初代太祖、2代定宗、3代太宗
チャングムの誓いーーー11代中宗
・トンイーーー19代粛宗、20代景宗、21代英祖
・イサンーーー21代英祖、22代正祖
(祖は特に功績の有った王への廟号(びょうごう))

そう考えて見るとこの本の表紙は韓流ドラマのファンを取り込もうと意図しているのかも知れないが内容は硬派なものになっている。

TVドラマでは主人公側に立つのを正義としてストーリーが組み立てられる為、本の内容と少し見方が違うことも多いが、少なくともTVドラマで描かれていたようなことが実際に有ったことを再認識した。

特にドラマでも度々描かれていたが、王朝内の権力闘争、党派対立の激しさ凄まじさは聞きしに勝るものがある。

以前から特に李氏朝鮮の建国の英雄、初代太祖(李成桂、イ・ソンゲ)、3代太宗(李芳遠、イ・バンウオン)について、建国前後の経緯も含めて、もう少し知りたいと思っていたがその想いの一部を叶えることが出来たと思う。

◎歩きの途中で見た椿の実、採って油を搾ってみたい。
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