中断中の独り言⑤月のゴーストと映画「羅生門」

一昨日同級生からのグループLINEで満月を知らせる連絡があり、そのなかに夜空の満月とその逆光から擬似的に生じた「ゴースト現象」が映った写真があった。
左側が月、右の青い光がゴースト
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相対的に強い光源を写した場合、レンズ内の反射などで生じる現象と思われ、私の若いときなど写真撮影の場合は逆光を避けるように教えられたことはこう言ったレンズのいたずらを防ぐ目的も有ったかもしれない。

この逆光からふと思い浮かんだのが黒澤明監督初期の出世作となった映画「羅生門」である。
云うまでもなく芥川龍之介の「藪の中」を下敷きにしたものでネタバレになるので詳細は避けるが、人間の業とも云える「嘘」の数々と最後の「救い」が描かれる。

三船敏郎京マチ子など錚々たるメンバーが出演されているが個人的にはアクの強い下人役を演じた悪役俳優・上田吉二郎さんがとても印象に残っている。

古い作品なので劇場で観る機会は無かったがTVでは3回ほど観た記憶があり、本物かと思うような「崩れかけた羅生門」は後年の黒澤作品の「乱」などの城のセットなどを彷彿(ほうふつ)とさせ監督の映画への想いが伝わって来るような仕上がりになっていた。

この映画を印象付けるもう一つのキーポイントが逆光場面の多さで、ギラギラした太陽の光、森のなか樹間の太陽が直接画面に現れる。
ゴーストのようにレンズのいたずらが起きたり見にくく成るため本来写真や映画撮影ではタブーであった逆光撮影を取り入れて効果を出している。

この映画の撮影は名カメラマンと云われた宮川一夫さんが担当されたが、この逆光を生かすべく今までに無い撮影の工夫を試みたとNHKのインタビュー番組で聞いたことがあり、敢えてタブーにも挑むことの気概が映画から伝わって来た。

🔘今年も例年通り、歩いている側の川で鯉の大暴れ、産卵の季節がやって来た。
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