「中国人の面子(メンツ)」

「中国人の面子」江河海著 佐藤嘉江子訳 はまの出版刊を読み終えた。
日経新聞の記事で紹介されていたので近所の図書館を介し府立図書館から取り寄せて貰った。

現役時代、中国上海に3年間駐在した。その間今まで知らなかった事や不思議に思える事にも色々と沢山出会ったが、この本を読んでいる途中でその分からなかったことの1つが理解が出来るようになった。

私の事例
上海市の北西に昆山市があり、そこの初めてのゴルフ場に仕事の関連でプレーすることになった。当日は相手もいるので時間に正確を期す必要があり、会社の運転手に場所を念を入れて確認すると分かると請け合う。

それを信じて車に乗ったが迷ってしまい到着できない。
何とか相手(中国人)と連絡を取り道を確認して1時間以上遅れて到着し迷惑をかけた。

ーーー怒ったが後の祭り、当時何といい加減な運転手だと思ったが、この本から読み解くとこのケースは運転手が自分の面子から場所を知らないと言えない(言いにくい)事が原因らしい。そう考えると長い間抱えていた疑問が解けた。

著者は色々な階層、性別、年齢、地域等の中国人25人からまんべんなくインタビューして収録、面子の実態を解き明かしている。

著者の前書きの一部によると、以下の通り書かれている。

「世界各国どこへ行っても面子の問題はある。然し中国人には他と違う独特の民族的特徴がある。この特徴は中華民族の歴史と伝統、精神によって培われたものだ。~~
それはまた、直接あるいは間接に、中国人の自分自身や他人、物事に対する捉え方、思考法、判断に影響を与え、中国人の行動を左右している。~~~」

25人のインタビューのなかで出て来た中国人の面子に関する面白いことわざを拾ってみた。
・「白粉(おしろい)は顔に塗れ」ーーー金と力は他人に分かるように使えという意味。

・「木には樹皮が必要で人には面皮が必要だ」ーーーこれはインタビューで何度も出てきた。面子について余程中国で定着していることわざらしい。

・「損は小事、面子は大事」

・「立派な客は店を欺き、立派な店は客を欺く」ーーー面子で人を嚇かし威圧するとの意味。

・「大きいものには大きいものの(メンツの)苦労がある」

・「凍死しても風に向かって立ち餓死しても腰を曲げず」

・「犬を殴るにも飼い主を見て殴れ」ーーー周りの人間の面子を考えろという意味。

何とまあ厄介な面白い国を相手にしているのか、複雑な気持ちになって考え込んでしまった。

◎これは夾竹桃と思われる。フランク永井「大阪ぐらし」
♪︎♪︎ 娘なりゃこそ意地かけまする
花もあかねの夾竹桃 ♪︎♪︎