「東京・タクシードライバーの人生行路」

NHKTVに「ドキュメント72時間」という番組があり、特定の場所に連続して3日間カメラを据えて、織り成す生々しい人間模様を映し出す。

今回は「東京・タクシードライバー/街ゆく彼らの人生行路」
と題して、タクシードライバーの勤務中の休憩時間確保の為、タクシーだけが駐車を許されている東京の六本木~青山の公道で、休憩中のタクシードライバーの皆さんの、色々な打ち明け話を聞き出していく。

タクシードライバーの休憩時間確保の為、各自治体毎にこのような場所が指定されているとの事で、今まで知らなかったが当然大阪にも同様の場所があるのだろう。

10数人のドライバーにインタビューしていたがその中で心に残った3例。

①24歳女性、新卒で入社して3年目、朝10時ー翌朝4時頃まで勤務。ーーー「新卒は今では沢山採用されている。慣れない間は辛かったが今は楽しい。頑張って稼げた日はラーメンに追加で卵を乗せたりして幸せを噛み締める」

②62歳男性、ドライバー歴30年、大ベテラン。ーーー
「長く続けられるコツは街の景色を楽しんで走ること。もうあと何年生きるかわからないが一人は寂しい、以前は子供2人の4人家族だったが、子供が大学卒業を期に熟年離婚した、女性関係で借金作って女房に苦労を掛けた、それを今失って気が付いた。」

③40歳男性、ドライバー歴5ヶ月(この3月に入社)インタビュー前まで自分の走行履歴を詳しくノートに記入中。ーーー
「カーナビ工場で15年働いていたが、もし会社がこけても他でも長く働けると思い、思い切って転職した。走行履歴を書くのは振り返ってみて次にどうすれば良いかに生かすため、売り上げの高いドライバーは休憩の取り方を含め緻密に考えている。」
「この仕事はただ運転して人を乗せるだけに見えるが、奥が深い。マニュアルがなく基本一人で考えてやる仕事」

3番目のドライバーの方が話されている事はどんな仕事、職場でも通用すると思える話で、新しい仕事に自分の頭で考え向き合おうという姿勢にとても共感する、このような姿勢で有る限り今の困難を乗り越え道が拓けるに違いない。

コロナに負けず懸命に頑張っている人がここにも沢山居られ、それぞれの人生があることを再認識させて貰った。

庭のモチノキの小枝にしがみつく夏の名残の蝉の脱け殻、風雨に耐えて数ヶ月も其処にいる。ムダとも思えるが蝉にはセミの意地もあるのだろう。
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