私は経済の専門家ではないので、表題について現在の状況を理論的に説明することは出来ないが、少なくとも客観的に一市民の立場で見ることは出来るのではないかと思っている。
日本の2021年度の基礎的な財政収支(プライマリーバランス・PB)はコロナウイルスの感染対応等による歳出拡大で
マイナス40.1兆円に達する見込みとマスコミが報道している。
21年度予算は106.6兆円、新規国債発行額は43.6兆円
財政赤字とほぼ符合する。
(また2020年度の歳出は補正を含めて175兆円、国債発行額は通常の3倍112兆円に達する見込み)
IMF(国際通貨基金)がまとめた20年までの日本の債務残高はGDP比で266%と試算されておりG7各国のなかで突出しており米国の倍の比率になる。
政府はPBを2029年度に黒字にすると公表しているが実際に今の状況をみるに付けこれが可能と考える人は少ないのではないか。
そんな中今週、日本経済新聞に興味がある記事が2つ掲載されている。
一つ目は「エコノミスト360°視点 合理的バブルが終わるとき」と題してBNPパリバ証券の中空麻奈さんが、
『現在の状況を世界の中央銀行による金融緩和で生じた合理的バブルと呼び、この資産価格と実体経済がかけ離れた状況は、合理的には制御できない実体経済が、何らかのトリガーによってはじけるだろう』と警鐘を鳴らしている。
二つ目はマーケット記事の「大機小機」コラムで与次郎という
ペンネームの方が、
『現代貨幣理論(MMT)は財政悪化の中で物価が上がり始めたら財政を引き締めればよいというが、財政破綻に伴うインフレ、金利の急騰は一気に来る。
日本の場合そうしたきっかけの有力候補は近いうちに予測されている、首都直下や南海トラフといった巨大地震ではないか、
それでも財政破綻しないためには国債のGNP比を下げておく事が必要』と書いている。
何れも平時には何とか回っている今の金融、経済システムが、不意のきっかけで混乱しうる、危うい状況に日本の経済・財政があることを指摘されている。
今回のコロナ騒動の中で、財政の健全化は危機の時にこそ、その効果を発揮することの一端をメルケル首相のドイツは実例として示してくれた。
嫌なことや厳しいことには眼を背けたくなるのが人情だが、もう既に、背けていてはいけないような状況に差し掛かかりつつあるように思えてならない。
負債を子供や孫に残してはいけないのは個人も国も同じことではないかと思うのだが。
◎この厳しい冬の雨にうたれながら、玉ねぎが根付いてきた。