今年行くべき場所世界で三番目・山口市

ニューヨークタイムズが2024年に行くべき場所52箇所を選んだ中で、私の郷里山口県の県庁所在地・山口市が3位に選ばれたと同級生からのLINEで知らせがあった。

その知らせを聞いた後、用事で車に乗るとたまたま当地のラジオ朝日放送(ABC)のニュースでもこの話題が取りあげられていて驚いた。

1位は皆既日食がみられる北米、2位がオリンピックのパリ、3位に山口市でその選ばれた理由が、「歴史がありながら観光客で混雑することがないコンパクトな街」ということで、国宝・瑠璃光寺五重塔、山口祇園祭、街のコーヒショップ等が紹介されているらしい。

山口市には昨年11月に山口県地方史学会の研究発表会に聴講の為訪れ、その際同級生に街を案内して貰い、そのことを11月28日から5回に分けて書いたことがあり懐かしい思い出である。

山口市域は戦国時代、北九州から西中国地方に覇をとなえ、大陸貿易を積極的に行った大々名・大内氏の本拠地で、その財力が京文化を呼び込み西ノ京と呼ばれた。

江戸時代毛利氏の治世下、幕末になると交通の不便な萩から防長二州のほぼ中心に当たる山口に政庁を移し政局に機敏に対処しようとしたが、その政庁が「山口政事堂(やまぐちせいじどう)」と称された。

反面、明治維新後は山陽鉄道(現在のJR山陽線)が山口を通らず瀬戸内寄りに敷設されたこともあり、産業の発展に遅れをとり文教都市の性格が強くなり、都道府県庁所在地の中では、人口が下から三番目の45位(19.1万人)、人口密度は一番低い47位である。

以前山口市に行った際、タクシーの運転手さんが「街に活気がなくどうしようもない」と嘆いていたのが耳に残っているが、今回のニューヨークタイムズの評価は皮肉なことにこの静かなところが評価されたようで、嬉しい反面非常に面白く感じている。

当然インバウンドなどの訪問者が増えることになると思われるが活性化を喜ぶ反面、オーバーツーリズムの心配を少しばかりしている。

中国由来の故事成語に「人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま)」があり、世の中の幸せや不幸は予測しがたく、良いと思ったことが悪かったり悪いと思ったことが良い方へ繋がるようなことを表すが、山口市のニュースを聞いてついこの事を思い浮かべてしまった。

紹介された国宝・瑠璃光寺五重塔は現在修理中で、私も去年遠くからテントを見るだけだったが、LINEでは令和8年には修理を終えるとのことである。

余談になるが、長州藩の政治都市であった萩と山口は何れも明治の産業化の波に乗り遅れたが、これこそ明治の長州閥が公平な目で産業適地を見定め、「我田引水(がでんいんすい)」をしなかった証だと個人的に誇らしく思っている。

🔘施設介護棟の屋上出口に健気にひっそり小さく、ヒメツルソバ