映画「トラ・トラ・トラ」

1970年に制作された太平洋戦争の始まり真珠湾奇襲を描いたアメリカ映画「トラ・トラ・トラ」がNHKBSプレミアムシネマで放送され録画していたのだが、しばらく放置していたのをようやく観終わった。

ブルーレイの録画容量が満杯になりそうなので、これは困ったと思いようやく観るつもりになった。

アメリカ資本の映画だが日本側の俳優といい、そのストーリーといいよくある変な日本描写は少しもなく、非常に客観的に日米どちらかに片寄らない重厚な映画だと、劇場も含めてこれで3回視聴した私の個人的評価である。

しかし映画の出来がよくてかなり事実に即した演出になっているため、却ってなぜこのようになってしまうのか映画を見ながら負の部分を考えることが多く、ついつい観るのを先延ばしする気分になってしまう。

言うまでもなく題名の「トラ・トラ・トラ」は真珠湾攻撃の飛行隊長・淵田美津雄中佐(田村高廣)が真珠湾上空で発した「我奇襲に成功せり」の暗号電報である。

日米開戦が不可避となっていくなかでアメリカの戦意を挫くことを主目的に、技術的に当時不可能とされる真珠湾の浅い海域での魚雷攻撃が成功し、アメリカ太平洋戦争艦隊に大打撃を与える。

しかし

・事務手続き上の不備から宣戦布告前の奇襲・騙し討ちになって米国世論が激昂する。

・偶然が重なり米空母2隻は無傷で温存される。

・米国政府は世論を戦争に導くため日本側から手を出させることを望み、被害の大きさは別にしてそのストーリー通りになった。

・日本の機動部隊は空母を温存するため、真珠湾への反復攻撃を止めて引き返し戦果の拡大が出来なかった。

等々歴史を知っている立場からするとスクリーンで日本軍がアメリカ軍を完膚なきまで叩きのめす場面の連続ながら、心の中での「なぜ?」が大きくなるばかりで、精神衛生上誠に宜しくない映画である。

しかし米軍がこれ程容赦なく徹底的に攻撃される映画を制作するアメリカ映画界や社会の懐の深さには脱帽せざるを得ない気もする。

個人的な好みで恐縮だが、野村駐米大使役の島田正吾(しまだしょうご)さん、近衛文麿(このえふみまろ)役の千田是也(せんだこれや)さんの演技はなんとも言えない味がある。

🔘何れにせよ真珠湾奇襲は戦術的には大成功、戦略的には大失敗、という見方に全く同意する。

 

🔘健康公園のモチノキの実が赤くなってきた。この樹皮から鳥刺しに使う「鳥もち」を作る。

 

【鳥刺しに  遊び走った  秋遼(はるか)】

 

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