一昨日の日経新聞一面に、長い目でみた国力の指標であるドル建てGDPで、2012年にドイツに比べ8割大きかったものが昨今の円安もあり足元で並びつつあるというショッキングな記事が出ていた。
そんな中読み終えたジム・ロジャーズ著「日本への警告」講談社プラスアルファ新書は見方によっては更にうすら寒さを感じさせられるところがある。
著者は高名な日本通と呼ばれる投資家で自分の娘にこれから生きていく上で大切だと考える中国語を学ばせるためにシンガポールに移住して投資活動をしていることで知られている。
また最近も、このままいくと20年後には日本は消滅するとその著書に書いて物議をかもしている。
その論拠はこの「日本への警告」で書かれていることと同じて以下の2項目の改善の道筋が見えないことを指摘している。
②長期債務残高・国の借金の増加
私も全く同感ながら、①の出生率の方は一人当たりの国力維持に方向付けし質的向上を目指す対応が出来るような気がするが②の方は激しい痛みを伴ってでも大ナタを振るわなければ未来は無いような気がしている。
また書かれている内容で共感を覚えるのは以下の項目である。
・破綻というものはゆっくり訪れる。
・今の日本はかつての日本人と違いビジネスにより外貨を稼ごうとするより紙幣を刷り続けて日本を救済しようとする間違いを犯している。
・人口減少への対策は国境を開くこと(外国人の受け入れ)と女性が活躍できる社会
・大胆に支出を削減すること。
・日本企業は昔ながらの高品質を武器にせよ
・農業の可能性にもっと目を向けよ
🔘投資に関してのアドバイスのなかでなるほどと思うこと。
・人の言う通りにしてはいけない
・故郷にとどまるな
・安く買って高く売る(これが一番難しい)
・よく知らないものに投資してはいけない
・安全という言葉を信じない
・好機は危機に潜む
🔘国の借金が増えることを容認する意見があるが、私は著者と同じく日本が最優先で取り組むべき大問題と思っている。少なくとも早期のプライマリーバランス黒字化は必須である。
🔘しかしこの本のなかで著者が、ロシア、中国、朝鮮半島に大きな期待を寄せている点は昨今のウクライナ侵攻の事実も含めて少々懐疑的で割り引いてみておく必要があると思っている。
これこそ「人の言う通りにしてはいけない」という著者自身の言葉である。
🔘昨夜ベランダに出ると今年初めて鈴虫のリーンリーンの声が聞こえて来た。
【鈴虫が 背に奏(かな)で居り 大夜景】