「金持ち父さん貧乏父さん」

日本人の一般的な通念からすると少し刺激的な表題の本を、通学のため下宿中の孫の机で見つけ、どうしたのか尋ねると友達から借りてきたとの事だった。

アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学」という副題が付いたこの本、ロバートキヨサキ著、白根美保子訳、筑摩書房刊「金持ち父さん貧乏父さん」は新聞や週刊誌の書評で何回か取り上げられていた記憶があり、世界的なベストセラーとして有名で、元々多少興味があったところから、孫に頼んで又貸しして貰い読み始めた。
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著者は不動産などに投資しながらファイナンシャル(投資、金融等)教育事業会社を創業、お金と投資に関する著作多数を発表している。

ここでの貧乏父さんとは実の父親をモデルにし、高い教育を受け、社会的評価の高い仕事についていて、お金はそれらの結果としてついてくるものだと信じている極めて一般的な考えの持ち主で、請求書のために懸命に働いているような人生を送る。

金持ち父さんとは友人の父親をモデルに、高い教育を受けているわけではないが、色々な事業を経営したり投資をして成功していき、著者に学校での学びとは別のお金にまつわる実地の教育を授けてくれた人を指している。

学校教育や社会的評価が要求する「お金を稼ぐ」という考え方から、投資の基本である「お金に働かせる、お金にお金を稼がせる」という考え方への転換が経済的に苦しまないための基本だと著者は言う。

「自分のビジネスを持つ」といった金持ち父さんの六つの教えや、キャッシュフローについての見方、資産と負債の違いについて等、具体的な著者の考え方が書かれているが、要約すると著者は「自分の経済状態を他人に左右させないで自分で考え行動を起こせ」と言っているように私には聞こえた。

実は私もお金に関しては体系的に勉強したことがなく、この反省から仕事をリタイヤしたときに設定したいくつかの自己目標のひとつに、投資やファイナンスの勉強を挙げた。
従ってこのようなことを学ぶことが必要であることに異論は無い。

然し著者の言うように若いときからお金について学ぶべきかどうかについては多少疑問がある。やはり若いときはこのようなことより基礎的な学びにもっと時間を費やすべきだと思うのだが。

何れにせよ孫の机の上から少し新しい視点が得られたのは確かなことである。

◎歩きの途中路地の角で見かけた花
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